秋の味覚の代表格サンマの豊漁が期待される中、今シーズンどの海の幸がお得な値段で食卓に並ぶのか取材しました。

サンマの水揚げ量日本一を誇る北海道・根室市の花咲港では、日が昇る前から次々と大量のサンマが水揚げされていました。

さらに、宮城・女川町の港でも今シーズン初のサンマが水揚げされ、入札が行われました。

女川魚市場・丹野秀之専務:
秋の味覚ということで、待ちに待ったサンマがようやく来たかなという感じ。値段的には300円、400円の相場で推移するのかなと思われます。

2008年には約34万トン水揚げされていたサンマですが、2022年には約20分の1にまで激減。
ここ数年は不漁による高値でなかなか手を出しづらかった状況が一変、2025年は豊漁に。

さらに皆さんそろって口にするのが…。

杉山水産・古田大輔さん:
今年のサンマは大きくて、脂の乗りが良くて。

第11権栄丸・森田毅漁労長:
全然型もいいし脂も乗ってね、いいんじゃないですか。

10年ぶりにサイズも大きく、脂のりも最高だということです。

また宮崎県では、こちらも秋の味覚、伊勢エビ漁が解禁。

港では漁師のお孫さんも手伝う中、例年並みの約100グラムの伊勢エビが初水揚げされました。

一体なぜ2025年はサンマが豊漁なのか見ていきます。
海産物に詳しい近畿大学の有路昌彦教授に聞きました。

近畿大学 世界経済研究所・有路昌彦教授:
今年に限って言うなら、サンマは黒潮大蛇行の影響もあると言われてる。

豊漁の要因とされているのが、黒潮大蛇行の終息です。
先週、気象庁は約7年9カ月続いた黒潮大蛇行が2025年4月に終息したと発表しました。

この黒潮大蛇行とは、太平洋沿岸を流れる海流「黒潮」が本来のルートから外れて南に蛇行する現象です。
気候や海産物にも影響を及ぼしてきたといわれています。

では今後、どんな海の幸がお買い得なのでしょうか。
都内の鮮魚店を取材しました。

「中與商店 武蔵小山店」では、生サンマが1尾税込み432円で売られていました。

中與商店 武蔵小山店・藤井禎基副店長:
今日の物で160グラムで1尾400円(税抜き)を販売。前年ですと120~130グラムが同じくらいの値段だった。

やはりお買い得なのが豊漁のサンマ。
160グラムほど大きいサイズのサンマが、2024年よりも300円近く安くなっているといいます。

サンマを買いに来た客:
(サンマを)絶対買おうと思って来た。絶対食べないと損だと思う。今年はいっぱい食べたい。

さらに、この店でお買い得だというのがアジです。

中與商店 武蔵小山店・藤井禎基副店長:
アジに関しても脂のりがしっかり、鮮度も良い。お買い求めしやすい値段。

価格は平年並みということですが、質が良く、刺身やたたきにするのがおすすめだということです。

ただ一方で、値段が上がりそうなのが秋サケです。

2日、北海道・札幌市で行われたサケの初競り。
最高値となったのは日高産のメス2匹。

それぞれ1kg11万1134円。
1匹あたり53万円で競り落とされ、過去10年で最高額となりました。

日の出本田水産・眞下治さん:
今年は水揚げ過去最低の予想なので、期待を込めてこの値段を出した。

ただ専門家は、黒潮大蛇行の終息によって今後、他の魚も豊漁になることが期待されるといいます。

近畿大学 世界経済研究所・有路昌彦教授:
黒潮大蛇行が終息した状況が、例えば5年・10年続くと、マイナスになっていた資源が回復するというのは分かっている。ウニ・アワビ・伊勢エビだけでなく、藻につくような魚類。色んな魚いますけど、それが戻ってくる可能性は結構高い。