九州本土最南端に近い鹿児島県錦江町にある小学校の児童がこの夏休み、教室の断熱工事にチャレンジした。まだまだ暑い日が続く中、授業中も快適に過ごせるようにと、子どもたちは一生懸命作業していた。
貴重な夏休み返上!自分たちで教室の断熱工事
大隅半島中南部にある錦江町の大根占小学校。7月下旬、夏休み真っただ中の教室にいたのは子どもたち。貴重な夏休みを返上して取り組んだのは、教室の壁や天井に熱を遮断する建材を施工することで室内の温度を一定に保とうという、断熱工事だ。
児童は、足場台と呼ばれる“踏み台”の上に立ち天井裏に断熱材を埋め込んだり、力いっぱいノコギリを使って分厚い断熱材を切ったりと、真剣な表情で作業を進めていた。

児童自ら工事を行うことで環境教育につながるほか、節電意識も高めてもらおうという狙いもある。錦江町政策企画課の坪内なな子さんは「自分たちでやったという思い出づくりもそうですし、より当事者意識を持ってほしいということがあるので、子どたちと一緒にやっています」と話す。

「室内の温度が全く違う」断熱で空調の負荷60%減も
今回の工事ではまず、天井裏にグラスウールを使用した断熱材を敷き詰める。そして、天井まである大きな窓を二重にする。さらに、窓の下の壁にも断熱材を貼り、壁を厚くする。本格的な断熱工事だ。古い校舎は断熱施工がされていない場合が多い。築36 年の大根占小学校も、天井や壁に断熱材は全く使われていない。

この3つを施工しただけでも、室内の温度が全く違うという。サーモカメラで断熱材を設置する前と後の箇所を測ってみると「断熱材を入れているところは27℃とかになっているんですけれども、断熱材が入っていない所は28~29℃くらい」。はっきりと結果が出ていた。
この断熱工事の企画・運営にあたった会社の代表・田渕一将さんは「今まで学校の断熱のワークショップをした事例では、空調の負荷が60%くらい減っている例もあるので」とその効果を語る。
暑いし怖い「大工さんの大変さを知った」
男子児童は、天井裏に断熱材を敷く作業が大変だったようだ。ダイレクトに熱を感じたようで「暑い!」と少し疲れた表情。
女子児童は「天井は少し怖くて、大工さんの大変さを知ったような気がする」「自分で作ったのを教室にはめたので、うれしかったです」。みんな、教室を快適にするために3日間の作業を一生懸命頑張っていた。

今回児童が作業したのは3日間。ここからは大人にバトンタッチだ。子どもたちがリニューアルした教室で2学期以降を快適に学べるよう、しっかりと仕上げた。
新学期が始まり、元気に登校してきた子どもたちは、口々に「前より涼しい。」とうれしそう。さっそく断熱材の効果を感じているようだ。末松雅之校長は「熱中症に気を付けながら、暑さに負けずに頑張ってほしい」。と子どもたちを励ます。

冷房効率が良くなった教室で、児童らの勉強の効率もぐ~んと上がることだろう。
(動画で見る:2学期から快適に! 鹿児島・錦江町の小学校 夏休み中の児童たちが教室の断熱工事に挑戦)