ブロンズ像2基が盗まれる被害があった新潟県上越市にある高田城址公園。高騰しているという銅を狙った転売目的の犯行なのか…警察が窃盗事件として捜査している。
公園内のブロンズ像2基盗まれる「なぜこんなことを…」
日本三大夜桜としても有名な上越市の高田城址公園。この公園内で驚くべき“盗難事件”が発生した。
公園内には、全26基のブロンズ像が設置してあるが、女性の顔とカラスをモチーフにした2基が何者かによって盗まれたのだ。

上越市によると、8月28日午前8時半ごろ、公園内にある上越市歴史博物館の職員から「あるはずのブロンズ像がない」と市に通報があり、職員が確認したところ、台座部分を残してブロンズ像がなくなっていたという。
上越市都市整備課の長谷川謙課長は「まっさらな状態で、上のブロンズの部分がなくなっているという状況だった。なんでこんなことをするのだろうという気持ちが先に来た」と憤りを口にする。

盗まれた作品の高さは、いずれも50cm程度で盗難被害は今回が初めてだった。
長谷川課長は「警察の方に協力させていただいて、手元に戻ることを願っている」と話すが、「返してほしい」と願うのは市民も同じだ。
市民からは「像を返してもらえればいいと思う」「なんでその2つを選んだのか分からないが、残念な気持ちでいっぱいなので、こういうことはやめてほしい」などの声が聞かれる。
需要高まる“銅”…価格高騰も「ブロンズはほぼ売り物にならない」
こうしたブロンズ像などの盗難品は、転売されるケースもあるという。
金属の買い取りなどを行っている新潟市北区の『北辰通商』。今回被害に遭ったものを見てもらった。

船山大介代表は「銅の値段が今ものすごく高くなっているので、こういった銅を盗む人が増えているのかもしれない」と危惧する。
電気自動車の普及により、銅の需要は近年高まっていて、JX金属が発表している銅の国内取引価格の基準は25年7月時点で1トンあたり約149万円と、5年前の同じ時期に比べ75万円以上高くなっている。
ただ、銅に他の金属が混ざっているブロンズは、純正の銅に比べて3割ほど安く取引されているため、船山代表は「市場ではほとんど売り物にならない」と話す。
上越市は被害届を提出していて、警察は窃盗事件として捜査している。