ケンカには強いがマヌケな一面も

茶トラのオスは、田舎での繁殖成功率が高いというデータもあります。

体が大きい分、他のオスを負かしてメスをゲットしてしまうのでしょう。一方、都市部では繁殖成功率が低いようです。体が大きくてケンカには勝てるはずなのになぜでしょう?

(画像はイメージ)
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田舎では猫が密集しておらず、一定の範囲にいるメスを強いオスが独占することができます。

独占するために常になわばりをパトロールし、他のオスが入ってきそうになるとケンカして追い出します。

しかし都市部では、同じエリアに多数の猫がいるのが当たり前。一か所に数十匹いることもざらです。繁殖期も、1匹のメスのまわりに複数のオスが「交尾待ち」している光景が見られます。

(画像はイメージ)
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好戦的な茶トラのオスは、こういう状況が許せません。他のオスがそばにいることが看過できないのです。

それで他のオスを追いやるためにケンカを始めます。しかし戦っても戦っても周りにはオスがたくさん。茶トラのオスが頑張ってケンカしているうちに、他のオスがちゃっかり交尾を終えているのでは?という仮説が立てられています。

デカいのにちょっぴりマヌケな茶トラくん。憎めませんね!

富田園子
富田園子

編集&ライター、日本動物科学研究所所属。
幼い頃から犬・猫・鳥など、つねにペットを飼っている家庭に育つ。編集の世界にて動物の行動学に興味をもつ。猫雑誌の編集統括を8年務めたのち、独立。哺乳類動物学者の今泉忠明氏に師事。現在は7匹の猫と暮らす。東京在住。