大きく成長したひまわり。
ある「プロジェクト」として、京都府内の警察署や保育園などで、毎年大切に育てられています。
始まったきっかけは、4歳の男の子が亡くなった、交通事故。
遺族と警察官が、ひまわりにこめた願いとは。
■「命の大切さ」伝えたい 10年以上つづくひまわりの種まき
「交通事故に遭わないように願って植えてください」
ことし5月、京都市の保育園で行われたひまわりの種まき。
子供たちを見守るのは、京都府東山警察署の西田勝志署長です。
この種まきは「ひまわりの絆プロジェクト」と呼ばれ、ひまわりを育てることを通して、交通安全を呼びかけるもの。10年以上続けています。
【京都府東山警察署 西田勝志署長】「命の大切さっていうのを、しっかりみんなに分かってもらいたい。交通事故に遭わないように、このひまわりを見て気をつけてもらいたい」
このプロジェクトが始まるきっかけとなったのは、ある遺族との出会いでした。
【陽大くんの父・東圭一さん】「事故当時は、訳が分からない状況でした。現実をちょっと受けとめられないというか」
■4歳で亡くなった陽大くん 残されたひまわりの種がつなぐ思い
東圭一(あずま・けいいち)さんの息子で当時4歳だった陽大(はると)くん。
14年前、友達の家で遊んでいた兄を迎えに行くため、住宅街の道の端を1人で歩いていました。しかし、後ろからきた車に前輪と後輪で2度ひかれ、陽大くんは亡くなりました。
母・和恵さんは当時の心境についてこう綴っています。
【陽大くんの母・和恵さん(手記より)】「さっきまで私たちに笑顔を見せてくれていたのに、数時間後には顔がパンパンに腫れ上がり、全く動かなくなった陽大。とても言葉にはできないパニックと、底の無い恐怖感、寂しさが襲いました」
【陽大くんの父・東圭一さん】「4歳の子供を1人で外に出したっていうのは、親として1人で行かせたのは失敗だったなと、今でも後悔はしています」
(Q.今、陽大くんにかけたい言葉は?)
【陽大くんの父・東圭一さん】「あの時1人で行かせてごめんなっていう思いしかない」
事故のあと残されたのは、陽大くんが幼稚園から大切に持って帰ってきたひまわりの種。
「来年一緒に植えよう」と約束していました。
陽大くんのひまわりは、事故の翌年、自宅の花壇で大きな花を咲かせました。
東さん一家は、「陽大くんのことを忘れないでほしい」と、当時事故の担当だった警察官に種をおすそ分け。
受け取った警察官は「悲しい事故をなくしたい」と、大切にひまわりを育てました。
そして、「ひまわりの絆プロジェクト」として、京都府内のすべての警察署に広がり、各署の警察官が毎年、花を咲かせています。
■全国に広がる「ひまわりの絆」
このプロジェクトには、毎年、当時の陽大くんと同じ年齢の子供たちも参加します。
6月には苗を植え、そして8月。
【子どもたち】「ねぇねぇ、5個も咲いてるよ、ほら!」
陽大くんのひまわりは、大人の背丈を超えるほど大きく成長しました。
この「ひまわりの絆プロジェクト」、今では京都だけでなく全国に広がっています。
プロジェクトに共感した比嘉作子さん(82)は、8年前から区役所や警察署でひまわりを育て、毎朝子供たちの見守り活動を行っています。
【比嘉作子さん(82)】「きれいにお花を咲かせて、ちゃんとできたらねって。いつも陽大ちゃんを思いながら、水やりとか、声かけながらやってます。地域の子供たちを自分が元気な間は、守っていきたい」
北海道や新潟、山口など様々な場所で結ばれる「ひまわりの絆」。
ことしも陽大くんのひまわりからは、たくさんの種がとれる予定です。
【陽大くんの父・東圭一さん】「全国、色んな所でひまわりが咲いてるっていうことで、連れては行ってあげられなかった景色を、陽大は見られていると思っているので、この活動が続く限り、陽大は行きたいところに行って、色んな楽しい思いをしているんだろうなと思って、今後もずっと見守っていきたい」
■警察官と遺族の願いが込められたひまわり
来年の春に退官する西田署長。
警察官としてプロジェクトに関わるのは、ことしが最後です。
【京都府東山警察署 西田勝志署長】「本当にここまで、みんなが10年先でもやってくれるとは思ってなかった。『ひまわりの絆プロジェクト』の思いは、伝わってるなと感じましたね」
もう二度と悲しい事故が起こらないように。
警察官と遺族の願いが込められたひまわりは、これからも子供たちを見守り続けます。
(関西テレビ「newsランナー」2025年8月28日放送)