秋田県内を襲った記録的な大雨から1週間がたち、被害が少しずつ明らかになっています。桧木内川が氾濫した仙北市の上桧木内地区では、コメ農家が秋の収穫と来年以降の作付けへの不安を口にしていました。
8月19日からの記録的大雨では、農作物の冠水や農業施設の損壊などが確認されていて、農林水産関係の被害額は、27日午前10時時点で15億6000万円余りに上っています。被害額はさらに膨らむ可能性があります。
菅原咲子アナウンサー:
「秋田内陸線の上桧木内駅のすぐそばにある田んぼ。線路の向こう側、田んぼを一枚挟んだ先に桧木内川が流れています。先週の記録的大雨の際は、氾濫した桧木内川の水が押し寄せ、辺り一帯は湖のようになってしまっていました」
あきたこまちを生産する若松章二さん(74)です。若松さんは「すごかった。とにかく今まで見たことのないような水量で。最初の日は全滅だと思った」と川が氾濫した日を振り返ります。
所有する5ヘクタールの田んぼのうち4ヘクタールが冠水し、多くの稲が横倒しになりました。さらに、土砂が流れ込んだほか、用水路が崩れるなどの被害を受けました。
収穫まであと少しという中での今回の大雨。若松さんは「いくらかは刈り取りできるのかなと思っているが、下に泥がたまっているので、どれだけ稲が頭を出すか、刈る時にならなけらば分からない状態。一番心配しているのは来春まともに作付けができるのか、できないのか」と不安を口にしていました。
若松さんは先への不安を抱えながらも、重機でがれきの撤去を進めていますが、個人で作業するには限界があります。
若松章二さん:
「行政に求めることは、第一に大きく水が上がったところの土砂などを寄せてほしい。個人でやるには難しいところも場所によってはあるので、業者などを入れてもらわなければ何ともならない。自分たちで復旧作業をやったものに対していくらかの補助が出るのか、それが一番心配」
県は今回の大雨について激甚災害への指定を国に要望する方針を示しています。基幹産業である農業を守るため、対策が急がれます。
若松さんは「住宅や建物被害の支援が優先され、農業は後回しになってしまうのでは」という懸念も口にしていました。
農家が生産を諦めなくてもよい支援を期待したいと思います。