福岡市が所有、管理する漁港で、漁協の支所が市に無許可のまま係留場所を有料でプレジャーボートに貸し出していることが分かった。市も黙認していたというその実態を追った。

放置されてきたプレジャーボート

2025年8月27日、取材班が向かったのは福岡市の長浜鮮魚市場のすぐ傍にある博多漁港。港には数多くのプレジャーボートが確認できるが、実はこれらのプレジャーボート全ては、不法に係留されたものだ。

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福岡市の条例では市が管理する8カ所の漁港のうち、プレジャーボートなどの係留を福岡市西区の浜崎今津漁港に限定している。

市の条例に違反し漁港に係留されたプレジャーボート。しかし長年、放置されてきたといいう。その理由が今回、明らかになった。

福岡市漁協の支所が係留場所を市に無許可で貸し出していたことが分かったのだ。無許可での貸出が行われていたのは市内の6カ所の漁港。漁協側は、プレジャーボートなどの所有者から利用料を受け取ることで、条例で禁じられた漁船以外の受け入れを行ってきたのだ。

市の漁港課によると2025年4月から5月の調査で約350隻の不法係留が確認されたが、そのうち約300隻は、漁協支所が係留場所を無許可で貸したとみられるという。

プレジャーボートの所有者はどのようなかたちで利用料を支払っていたのか?取材を進めた。

船オーナー「振込先しか知らない」

知り合いから引き継ぐかたちで船のオーナーとなった男性。係留代金はどこに支払っているのか。男性は「決まったところに払っている」と答えた。

さらに漁港に払っているのか尋ねると「振り込み先しか知らないので」と詳細を把握しないまま漁協への利用料の支払いが行われていると男性は答えた。

長年、続いていたとみられる福岡市漁協の『無許可貸し』の実態。市は事実を把握しながら長年に渡り、黙認してきたことを認めた。一方で「市漁協への便宜供与をしたわけではない」としている。

内情を知る関係者は「ボートの係留は何十年間も暗黙の了解になっていた」と打ち明ける。

「漁協が強いから市役所は何も言わない。しかし今回ニュースになったことで市役所も動かないといけなくなった」

取材に応じた福岡市の高島宗一郎市長は「まずは事実関係です。正すべきところは正さないといけない。しっかり担当課から話は聞きたいと思います」と話し、さらに「なかなか見えにくいところではあるかもしれないが、まぁね」と付け加えた。

市は問題の解消に向け有識者会議を設置し、9月上旬に初会合を開く予定だ。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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