参院選の投票の見返りに現金を渡す約束をしていたとして、パチンコ店の運営会社の社長らが逮捕された。
候補者だった阿部恭久氏が27日午後、取材に応じた。

“パチンコ業界の人物”を当選させるため買収企てる

関東や中国地方を中心に、全国31店舗を展開するパチンコチェーン「デルパラ」。

“パチンコ業界の人物”を当選させるため買収企てたか
“パチンコ業界の人物”を当選させるため買収企てたか
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その運営会社の社長らが逮捕された。
容疑は8月の参院選で、“パチンコ業界の人物”を当選させるために買収を企てたというものだった。

その参院選の候補者は…、

参院選に立候補していた阿部恭久氏:
私は、要は細かな(選挙)戦略だとか戦術だとか、そういったことは何も担当してないので分かりません。

パチンコ業界と選挙とを結ぶ背景には何があるのだろうか?

公職選挙法の疑いで逮捕された山本昌範こと、李昌範容疑者(50)
公職選挙法の疑いで逮捕された山本昌範こと、李昌範容疑者(50)

26日夜、公職選挙法違反の疑いで警視庁などに逮捕されたのは、パチンコ店運営会社「デルパラ」の社長 ・山本昌範こと、李昌範容疑者(50)と幹部らあわせて6人。

投票の見返りとして3000〜4000円を支払う約束をしていた疑い
投票の見返りとして3000〜4000円を支払う約束をしていた疑い

李容疑者らは、デルパラの店員ら60人に対し、8月の参院選で自民党から比例代表で立候補し、のちに落選した阿部恭久氏に投票するよう要請し、投票の見返りとして、現金3000円〜4000円を支払う約束をした疑いが持たれている。

その具体的な手口も明らかになった。

安倍氏の名前を書いた投票用紙の写真を送らせていた
安倍氏の名前を書いた投票用紙の写真を送らせていた

期日前投票で安倍氏の名前を書いた投票用紙の写真を送った店員には、“残業代名目”で報酬を支払うと説明し、さらに全国の店舗から本社に投票状況の途中経過を報告させていたという。

李容疑者らがそこまでして投票を促した候補者が、自民党公認の阿部恭久氏。

参院選に立候補していた阿部恭久氏
参院選に立候補していた阿部恭久氏

阿部恭久氏(事務所のフェイスブックより):
ぜひ投票に行って、2枚目の投票用紙には「あべやすひさ」とお書きください。よろしくお願いします。

実はこの阿部氏は、過去に大手パチンコメーカーの社長を務め、さらに現在は全国のパチンコホールで組織する業界団体の理事長を務めている。

そんな阿部氏は27日夕方、報道陣の取材に対応し、犯行への関与をあらためて否定した。

阿部氏は犯行への関与をあらためて否定
阿部氏は犯行への関与をあらためて否定

参院選に立候補していた阿部恭久氏:
電話で1回、山本社長とは「今回出るんでよろしくお願いします」という部分で、お電話ではお願いしてますけど、それ以上のことは言ってません。今回の話を聞いて、「え、なんで、どうしたの?」と。

ある捜査関係者は、今回の事件の背景として、パチンコの遊技人口やホールの売り上げが減少している点を挙げている。

改正風営法の影響で業界全体の売り上げは右肩下がりに
改正風営法の影響で業界全体の売り上げは右肩下がりに

ギャンブル依存症が社会問題化しつつあった2018年、パチンコの出玉の上限をそれまでの3分の2程度に抑える改正風営法が施行され、それに連動するかのように、パチンコホールの数や業界全体の売上高は右肩下がりになっていた。

パチンコ業界の“客離れ”に歯止めがきかない中で、業界の声を届ける人を1人でも国会に送り込みたかった可能性についても、この捜査関係者は指摘する。

李容疑者らは250人以上の従業員に投票の報酬の約束をしていたか
李容疑者らは250人以上の従業員に投票の報酬の約束をしていたか

警視庁などは、李容疑者らが250人以上の従業員らに投票の報酬の約束をしていたとみて、さらなる調べを進めている。
(「イット!」8月27日放送より)

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