鹿児島県日置市の吹上浜で市川修一さんと増元るみ子さんが北朝鮮に拉致されて47年。

そんな中、先週土曜、23日、鹿児島県庁で拉致問題についての勉強会が開かれました。

実はその勉強会、主催したのは高校生なんです。

番組ではこれまでにもお伝えしてきましたが、こちらは企画から運営まですべて高校生たちが担っているものなんです。

自分たちが生まれるずっと前の出来事に向き合う高校生の姿を追いました。


川内高校2年・羽島奈穂さん
「今、風化が懸念されている北朝鮮による日本人拉致事件を、自分事として考えるきっかけにしてほしい」

川内高校2年の羽島奈穂さん。

この日、県庁で開かれたのは羽島さんが主催した拉致問題の勉強会です。

2024年12月、全国の拉致問題に関する作文コンクールで入賞した鹿児島の高校生たちとともに、自分たちと同じ世代の若者向けの勉強会を企画した羽島さん。

その裏にはこんな思いがありました。

川内高校2年・羽島奈穂さん
「自分で勉強するうちに『怖い』と思うだけでなく『怖い』の先にある勇気を出して何か行動を起こさないといけないと気付いた」

勉強会をどう進めたら自分たちと同じ世代にも声が届くのか。

プログラムから会場のレイアウトなど、この日に向けて約2カ月にわたり何度も打ち合わせを重ね、準備を進めてきました。

いよいよ勉強会当日。

朝から続々と集まった高校生たち。

ともに企画を進めてきた4人だけでなく、それぞれの友達も協力してくれます。

もちろん勉強会で配る資料の準備や会場の設営も自分たちの手で進めます。

渕脇 詩さんの友人
Q.どうしてイベントに参加したの?
「何も知識はないですけど(拉致のことを)学べたらよいなと思って」

実は羽島さん、打ち合わせでこんなことを口にしていました。

羽島さん
「行動に起こしてもらいたい。『私も一緒に考えた』という気持ちになってほしい」

“拉致問題を自分事として考えてほしい”

そんな羽島さんの思いを受け、みんなで話し合って設置されたのがこちらのボードです。

「拉致問題に関するキャッチフレーズを考えてもらって、帰りの際にあそこの青のボードに貼って帰っていただければ。よろしくお願いします」

市川修一さんの兄・健一さん夫妻も会場に到着。

羽島さん
「すごく緊張する」

午後1時半。

羽島さんのあいさつで始まった勉強会。

司会を務めるのも高校生です。

まずは初めて拉致問題を学ぶ人に向けて、1978年8月12日、日置市の吹上浜で市川修一さんと増元るみ子さんが北朝鮮に拉致された事件の経緯を説明します。

甲南高校2年・福留豪希さん
「31日の夕方、『ありがとう』と家族総出で見送ったのが修一さんの姿を見た最後だった。駐車場には2人が乗ってきた車が残されたまま。浜辺には修一さんのサンダルが片方残されていました」

市川修一さんの兄・健一さん夫妻もマイクを握ります。

市川修一さんの兄 拉致被害者家族・市川健一さん
「この拉致問題を忘れないでください。皆様方のお力をどうか、どうか私たち家族にお貸しください」

そしていよいよ、4人によるスピーチです。

当初は中高生を対象としていた勉強会。

しかし、年齢を問わず参加を希望する声が上がったことから、会場には様々な世代の35人が集まりました。

そんな来場者を前に、羽島さんはまっすぐに思いを述べました。

川内高校2年・羽島奈穂さん
「拉拉致問題は過去の出来事ではない。関心を持ち、応援することに年齢は関係ない。拉致被害者全員の『ただいま』の声を聞くその日まで私も諦めない」

羽島さんが抱く思い。

それは他の高校生も変わりません。

甲南高校1年・田村源太郎さん
「僕たちは決して忘れてはいけない。拉致は重大な人権侵害であり、断じて許してはならないことだ」

甲南高校2年・福留豪希さん
「修ちゃん帰る、必ず帰る」

鹿児島情報高校3年・渕脇詩さん
「どうかお願いです。市川さんの意思を実現させるのに力を貸してください」

高校生たちが自分たちで作り上げた勉強会。

市川健一さんの妻・龍子さん
「最初から最後まで涙、涙でもう。頑張ってきてよかった。」

羽島さん
「少しでもお役に立ててよかった」

市川健一さん
「ありがとう」

来場者
「遠い話だと思っていたけど『人ごとじゃないんだ』と思って、これから私たちにできることがあればやっていきたい」
「拉致問題は昔の問題ではない。それを友達に教えていきたい」
「次の若い世代に伝えるために僕たちが拉致問題をしっかり勉強していきたい」

市川修一さんの兄 拉致被害者家族・市川健一さん
「高校生の皆さんはまだ生まれていないときに起きたこの拉致事件。共に戦ってくれる。本当にありがたい。心から感謝している」

羽島さんが初めて拉致問題に触れてから2年。

当初、まわりに羽島さんと同世代の仲間はいませんでした。

しかし、羽島さんの熱意は年齢や学校を超えて広がり、今回の勉強会につながりました。

川内高校2年・羽島奈穂さん
「本当にホッとしたというか、終わって伝えたいことを伝えられて、よかったという安堵の気持ち。(自分の活動が)誰かの拉致問題を考えるきっかけになっているというのが、これからも続けていこうという原動力となる。今度はきょう来てくれた中高生が友達に、どんどん派生していくように輪が広がっていけば」

今回の勉強会を通して同世代の仲間たちにさらに広がった輪。

修一さんの「ただいま」の声を聞くその日までー

羽島さんは諦めません。

鹿児島テレビ
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