仙台市や富谷市で公園の車止めのポールが100本以上も相次いで盗まれている事件の続報です。狙われたステンレス製のポールは鉄よりも高値で取り引きされていて、法律の「抜け穴」も背景にある可能性が見えてきました。
仙台市内を中心に、6月ごろから次々となくなっている「車止めのポール」。公園の入口にあるはずのステンレス製のポールは根元から抜かれています。
各区役所などによりますと、市内では少なくとも39カ所の公園や緑地で108本のポールが盗まれています。(27日時点まとめ)
被害を免れたポールを見てみると、設置部分には盗難防止の南京錠。警察は鍵ごと壊されて抜き取られたとみています。
今回盗まれたのはほとんどがステンレス製。金属リサイクル業者に話を聞いてみると、高値で取り引きされることが背景にある可能性が見えてきました。
県内の金属リサイクル業者
「鉄スクラップは1キロ20~30円とか40円ぐらいで取引されているが、ステンレスは鉄の数倍の価格で取り引き。同じ重さでもお金になりやすい。ステンレスが狙われてるのではないかと思う。鉄の4倍とか、それくらいになるのではないかと思う」
全国でも金属を狙った窃盗は急増しています。警察庁によりますと、去年1年間で2万701件と、統計開始以降「過去最多」になりました。
しかし、検挙率はわずか3割未満。特に太陽光発電施設を狙ったケーブル盗難では検挙者の6割が「外国人」でした。
県内の金属リサイクル業者
「再生資源の組合があり、盗難情報などが組合に回ってきて、事件の特徴がある情報は通報など連携を取るという仕組みができているが、外国人系の一部のヤード(解体場)は組合に入ってないところが多いので、盗難情報は会社にも入ることもないでしょうし。一部の外国人系の業者に流れているのではないかと思う」
被害の急増を受け、今年6月、「金属盗対策法」が成立。
金属くずの買取業者に対し、本人確認、取引記録の保存、盗品疑いの申告義務を課すとともに、ケーブルカッターなどの工具の所持についても罰則を強化。
しかし、今回狙われた「ステンレス」は規制の対象外です。
こうした“抜け穴”を懸念する声も…。
県内の金属リサイクル業者
「銅やアルミなど盗難が多い金属を中心に規制を強めているので、正規のリサイクル業者で盗品が換金されにくくなるという点では効果を期待。ただ、今回のようなステンレスや、その他の金属は今のところ対象外なので、逆に抜け道になる恐れもあるのではないかと考えてます」
県内でも過去に銅線などを狙った事件が相次いでいます。
5月、閉鎖されていた川崎町のスキー場で変電設備の銅線ケーブルが盗難の被害に。
去年7月には山元町で震災遺構・旧中浜小学校のアルミ製の校銘板が盗まれ、
去年12月には気仙沼市や南三陸町で、小型漁船の船外機が相次いで盗まれる被害が起きています。
いずれも転売目的の犯行とみられています。
仙台市によりますと、今回盗まれたステンレス製のポールは、設置に1本あたり5万円から10万円ほどかかるということです。
法整備後も続く金属盗難。盗品流通の“抜け穴”をどう塞ぐかが問われています。