「本当に皆さんのおかげで監督出来て幸せでした。感謝しかない」
会見冒頭でこう語ったのは、大分トリニータの前監督、片野坂知宏氏。
片野坂前監督は2016年から2021年まで大分トリニータで指揮を執った。
就任1年目にチームをJ3優勝に導くと、その2年後にはJ1昇格を果たした。
歴代最長となる6年間に渡りチームを率いたが2021年、監督を退任。
そして、昨シーズンから2度目の指揮を執っていたが成績不振のため、8月18日、クラブが監督契約を解除。
22日、片野坂前監督は報道各社の取材に応じ、通算7年半指揮を執ったチームへの思いを語った。その詳細を伝える。
今シーズンは「非常に苦しいシーズンだった」
（Q今シーズンの甲府戦までを改めて振り返ってどうだったか）
◆片野坂知宏前監督
「開幕戦いい形で勝利でスタートして、前半は粘り強く勝ち取って何とか10位で折り返しすることができた。後半戦になって、勝ち点3、勝利を掴むことができず、勝ち切れない試合がありました。その結果、私自身が退任することになって非常に苦しいシーズンだったなと感じています」
（Q要因についてどう分析しているか）
◆片野坂知宏前監督
「いろんな要因があったと思う。勝ち切れないゲームであるとか、不運なこともあるとか、流れが非常に良くなかったところで断ち切ることが出来なかったっていうとこもあると思う。自分たちがどういうフットボールするかを、どれだけ徹底してできるかということ、それを貫いていくこともすごく大事だなと感じました」
大分トリニータでの指揮をふりかえって
◆片野坂知宏前監督
「2016年に就任し、トリニータのカラーを作っていきたいと思い、しっかりとボールを繋いで攻撃を作っていくという部分で、パス回しにゴールキーパーが参加したり、相手が前からボールを奪いにくれば、疑似カウンターをしかけるなど攻撃のバリエーションを増やしました。J3から J2、そしてJ1へと昇格することができ、これらがトリニータのひとつのカラーになったと思います。2016年から2021年まではそういった形でチャレンジしました。そして、昨シーズンはまたさらにバージョンアップしたフットボールを見せたいと思い『シームレス』（攻守に切れ目がないサッカー）にチャレンジしたんですけど、勝ち切れない試合もありました」
片野坂前監督にとってサポーターの存在は
（Q監督として率いている中で、サポーターなどからかけられて嬉しかった言葉は）
◆片野坂知宏前監督
「やっぱりうまくいっていない時に変わらず、『応援しています』と言っていただけるとすごい嬉しいですね。どんな状況でも『我々はトリニータを応援しているので頑張ってください』と言われることがここ何年かは多くて、やっぱり成績が伴ってないなか、苦しい状況のときでも、練習場やスタジアムにも足を運んでいただいて。試合のドームを出てから、バスを毎回毎回、お見送りになられる方がいらっしゃるんですよ。多いときは何百人といるんですけど、勝っても負けても、雨が降っても、暑い中でもどういう状況でも。
それを見る度に、やっぱり勝ったときは勝ってよかったなと。負けたときは『なんとか次勝たなきゃな』っていうふうに思った。そういう方々のおかげで、サッカーができていると思います」
（Q大分のサポーターはどんな存在だった）
◆片野坂知宏前監督
「心強いです。ホームはもちろんですけど、アウェーでも、J3のときも、地方のすごく来るのに大変なところでも、たくさん来ていただいて、後押ししてくれました。本当に勝っても負けても、負けてブーイングがあったとしても、また試合に来てくれたりとか、足を運んでくれたり、本当に力になっていただいて、心強かったですね」
トリニータへ「いいシーズンだったっという結果をつかみ取ってほしい」
（Qトリニータへのエールメッセージを）
◆片野坂知宏前監督
「もう私自身が関わることは出来ないですけど、残りの試合に向けて選手はもう本当に必死に這いつくばってでも、勝ちを自分たちでつかみ取ってくれると思います。そして、引き継いだ竹中監督やスタッフもまた、チームのために本当に熱い思いを持ってやって、チームのために戦ってくれると思います。
そして、こういう状況になってもトリニータのファン、サポーターがきっと変わらず、よりもっとサポートしていただいて、一緒にこの状況を変えてくれると期待している。
まずは目の前の次の試合を勝利で勝って繋げて、今シーズン、いいシーズンだったっという結果をつかみ取ってほしい」
大分の生活は「全てが本当に最高」
（Qこれまでの7年半を振り返って）
◆片野坂知宏前監督
「幸せでした、本当に。ありがたかったですね。皆さんのおかげで、私自身もこれだけできたと思いますし、本当感謝しかないですし、本当に幸せだったなと。この経験というのも、今後にもまた生かしていきたいですし、またいい形でトリニータに関わったり、対戦したり、また皆さんの前に成長した姿を見せられるように、トリニータの１サポーター、OBとして頑張っていきたいと思っています。このトリニータで指揮をとれて、すごくよかったなと、幸せだったなと思っています」
（Q大分の生活はよかった）
◆片野坂知宏前監督
「最高です。もう温泉もご飯も環境も、トリニータというクラブも。全てが本当に最高な環境で、本当に離れるのは寂しい思いですね」
