原爆資料館の展示が子供の心理に与える影響について、初めての本格的な調査が始まっています。
「資料館の展示を見てから、自分の考え方や気持ちは変わったか。この展示を見てどうでしたか?」
26日、広島市内の小学校と中学校で行われたのは原爆資料館の展示物が児童・生徒の心理に与える影響を検証する調査です。
調査は広島大学の専門家が保護者の許可を得た一部の児童・生徒を対象に行いました。
具体的には原爆で亡くなった子供たちの遺品、当時撮影された人物の写真や被爆者が描いた絵などの展示物を見て感じたことのアンケート調査や、専門家によるヒアリングを見た直後とおよそ1ヵ月後の2度行い、トラウマの程度などをチェックします。
なぜ、このような調査を行っているのでしょうか?
【原爆資料館・豆谷利宏 副館長】
「東館の地下に平和学習を中心とした展示室を設けようとしている。その内容の検討にあたり必要な情報を得るために、生徒を対象にした調査を行っている。子供たちの心理的なものを参考にしつつ、どのような展示がいい具体的に考えていきたい」
原爆資料館の入館者数は昨年度、過去最多となり、修学旅行などで訪れた子供たちが、ゆっくり見学して学習することが難しいなど、混雑が深刻化しています。
そのため原爆資料館東館の地下に子供向けの平和学習の展示を新たに作る計画が立ち上がりました。
今年6月には検討会が開かれ、展示内容についての議論が始まっています。
検討会では見学した児童や生徒の中には気分が悪くなり途中で見学できなくなるケースがあることから、心理的な影響への配慮を求める意見が出る一方で、被爆者からは「凄惨さを伝えることこそ大事」という声も上がっています。
こうした中で行われた子供たちへの調査。
この調査は、高校生にも実施され、結果は10月下旬に公表される予定で、2028年度に見学開始となる子供向けの平和学習の展示に生かす方針です。