田久保眞紀 市長の学歴詐称問題により、伊東市では市議会9月定例会に補正予算案を提出できない異常事態となっている。一方、当の田久保市長がここのところ行っているのがSNSでのメガソーラーに関する発信だ。
伊東市の幹部職員は8月25日、市議会9月定例会の開会を前に議案の記者説明を行い、一般会計を含む補正予算案や空席となっている副市長ならびに教育長の選任案を提出しない方針を明らかにした。
補正予算案は当初予算案を組んだ時からの事情や状況の変化に応じて各定例会に提出するのが通例となっていて、補正予算案が編成されないのは極めて異例で、まさに異常事態だ。
これは、田久保市長が当初は辞意を示していたことから辞職を前提とした対応をしていたため、編成が間に合わなかったことが理由だという。
一方、田久保市長がここのところSNSでの発信を強めているのがメガソーラーの建設計画に関する話題だ。
投稿は法律論や行政手続きの在り方そっちのけで前市長に批判が向くよう“誘導”するような内容になっている。
しかし、事情がわかっている人にとってはすべて既出の話であり、まさに印象操作そのもので、当時は県の副知事としてこの問題に関わっていた静岡市の難波喬司 市長が「事実関係だけ伝えるが、まずメガソーラーについて伊東市は条例を作った。この条例は(大規模な)メガソーラーをやる時には市長の同意がいるという内容になっている。それを作ったのは前市長」と田久保市長を暗に非難する事態となった。
そもそも、田久保市長が市議になる前からメガソーラー反対の市民活動に力を入れていたのは多くの人が知るところであるが、5月に行われた市長選の選挙公報を見てみると、メガソーラーという言葉は自身の肩書きを記すための「伊豆高原メガソーラー訴訟を支援する会代表」として使用した1カ所だけであり、公約の中にその文字は出てこない。
また、市議会6月定例会で行われた所信表明演説でもメガソーラーには一切触れていなかった。
所信表明の中で「常に市民目線を忘れず、初心を決して曲げることなく、一方で皆様の声にしっかりと耳を傾けながら、即断即決し、行動力を発揮して、伊東のまちが真の意味で活力のあるまちに再生を果たすため、市民の皆様との協働により、誠心誠意、市政運営に努めてまいる所存」と述べた田久保市長。
あれからわずか2カ月あまり。
伊東市は「活力あるまち」への再生どころか、市政運営そのものが泥沼状態となっている。