観光地としても知られる静岡・下田市の廃墟となっていたホテルで20日、行政代執行が始まった。
21年にわたって放置されてきた「下田富士屋ホテル」で行政代執行
「ただいまより緊急代執行による木造部分の撤去開始することを宣言します」

行政代執行とは、適切な管理を行わない所有者に代わって、自治体が問題の改善を図る措置。
今回その対象となったのは、国道沿いにある「下田富士屋ホテル」。
1962年に開業したあと、経営不振などで2001年に廃業、その後21年間にわたって管理されず、放置されてきた。

下田市建設課・佐々木豊仁課長:
所有者の方には、建物の適切な管理を再三にわたって指導してきたところなんですけれども、経済的な理由からできないとか、あとはその呼びかけにも、もういよいよ応じてくれなくなった。

現在はガラスが割れ、天井も抜け落ちた状態で、心霊スポットとして紹介されるなどしたことから、無断で立ち入る人があとを絶たないという。

さらに2023年には、無人のはずの建物で不審火が発生し、騒然となった。
そうした中で今回、行政代執行に踏み切った下田市。

撤去を決める大きな理由となったのが、隣接する住宅で相次いでいる深刻な被害だった。
隣接する住宅では、ホテルで使われていた木材が崩れ落ち、何度も被害が出ているという。
隣接する住宅に住む人:
屋根が壊れて、1階の下の部屋が水浸しになっちゃって…。

ーー所有者は?
隣接する住宅に住む人:
全然話にならない。1回も来たこともないですし。
市では、倒壊の危険の大きい木造部分に限定して撤去することを決めた。

下田市建設課・佐々木豊仁課長:
今後も所有者の方にですね、残った部分の建物の適切な管理や撤去もお願いしていきたいと。
木造部分の撤去は9月にかけて行われ、市は撤去にかかる費用約600万円を所有者に請求する方針。
(「イット!」8月22日放送より)