ビールの原料の一つ「ホップ」の生産者になろうと、秋田県横手市で日々農業研修に取り組んでいる地域おこし協力隊の女性がいます。ビール好きが高じてホップ農家への転身を図ろうと奮闘する女性を紹介します。
横手市大雄はホップの国内有数の産地です。収穫されたホップは岩手県にある大手ビールメーカーの工場に運ばれ、ビールの原料として使われます。
現在、横手市では30~80代まで20戸の農家がホップを栽培しています。
大雄ホップ農業協同組合でパソコンに向かう女性。秋田市出身で横手市地域おこし協力隊の大泉華さん(27)です。
大泉さんは関東の大学を卒業後、2年間、県外の酒類販売店で働きました。会社を辞めて次の仕事を探していたところ、友人から横手市がホップ農家を目指す人を募集していると聞き、地域おこし協力隊に応募。この春、横手市に移住しました。
横手市地域おこし協力隊・大泉華さん:
「元々お酒が好きで、中でもビールが一番好きだったのでビールに携わる仕事がしたいと学生の頃から思っていた。自分の働き方を考えたときに川上の仕事のほうが向いているとも思った。学生時代の部活もワンダーフォーゲル部で、自然と触れ合うことも多かったので農家の道を選んだ」
いくら飲んでも飽きないというほどビール好きの大泉さん。地域おこし協力隊員に着任してから大泉さんは、農家の作業を手伝ったりホップの成長を観察したりと日々農業研修に励んでいます。
ホップ農家を目指す大泉さんには心強い味方もいます。地域おこし協力隊の先輩として、2024年からホップ農家になるためのロードマップの作成に取り組んでいる北野泰之さんです。
大手ビール会社に勤めていた経歴を持つ北野さんに大泉さんの印象を聞くと「まだまだ分からないことばかりだと思うが、すごく積極的に『何かやることはないか』と農家に連絡していて、外に出るのが好きなタイプだと思う。農家に向いている」と話してくれました。
ホップについてまだまだ分からないことが多い大泉さんは、ビールの知識が豊富な北野さんから多くのことを学んでいます。
大泉華さん:
「北野さんから去年、栽培マニュアルや年間の作業の流れを作ってもらった。いきなり作業に行っても何の作業をしているか分からないため参考にしている。キャリアも素晴らしいし、社会人としても色々と勉強できる」
北野さんをはじめ多くの人に支えられている大泉さん。担当するホップ畑もすでに割り当てられていて、今後は土作りや苗作りを進めて来年の収穫を目指します。
大泉華さん:
「3年後に新規就農できるように栽培技術を覚えていきたい。協力隊として地域の魅力を発信して、知名度が上がって人が増えてくれれば機械の老朽化などの課題にも向き合っていくことができると思う。まずは人が増えてくれればいい」
ビール好きが高じてホップ農家を目指す大泉さんの歩みは始まったばかりですが、多くの人に支えられ一歩ずつ前へ進みます。