暴力行為が発覚し、史上初となる夏の甲子園大会期間中の出場辞退を発表した広島県の広陵高校に21日、大きな動きが。
長年にわたりチームを率いてきた中井哲之監督を交代させると広陵高校が発表したのです。
甲子園大会決勝目前に、全国屈指の野球名門校の監督交代劇に大きな波紋が広がっています。
きっかけは、広陵野球部に持ち上がった“暴力事案”。
2025年1月、当時2年生だった複数の野球部員が1年生の部員1人に対し、胸や頬をたたくなどの暴力行為を行い、その後の3月、広陵高校は日本高野連から厳重注意を受けていました。
学校側は、その事実を甲子園本大会の開幕翌日に公表。
1回戦で旭川志峯戦に勝利しました。
一方、SNSではこの暴力事案に加え、2024年、中井監督や監督の息子で広陵野球部OBの中井惇一野球部部長らが当時の部員に対して行ったとされる別の暴行情報も拡散。
8月10日、2回戦を前に大会期間中にもかかわらず、学校側が出場辞退を発表したのです。
広陵高校・堀正和校長:
生徒の登下校で誹謗中傷を受けたり追いかけられたり、寮で爆破予告があったり、そういったこともSNS上で騒がれている。
学校側は辞退の理由について、SNSでの誹謗中傷で生徒らの安全が損なわれているためと説明。
暴行の事実確認などについては、第三者委員会に委ねているとしました。
その後行った、野球部員や保護者への説明について、堀校長は「選手からは何一つ質問もなく、それを受けて次に向かったのが保護者会。(保護者会では)誰一人質問の手が挙がらず、保護者がわれわれの意に同意してくれている様子がうかがえた」と話しました。
そして出場辞退から10日余りが経過した21日、学校側が中井監督と息子の惇一部長の交代を発表したのです。
しかし、交代の理由については明らかにされておらず、一連の暴力事案についての第三者委員会の調査はこれから開始されるとしています。
また学校側は、野球部員全員にアンケートを実施したことも発表。
野球部の1年生・2年生は暴力などの問題がないことを確認したとして、23日に開幕する2026年春のセンバツ大会につながる秋の広島県大会には新しい監督と部長で出場するとしました。
スポーツライターの小林信也さんは「広島は23日から秋の予選が始まるから、大会に臨むには監督なしでは出られない。出るために必要な条件を整えるというふうにみえてしまう」と指摘した上で、21日の発表について「真実がどうだったかは別に調査するにしても広陵高校が二度と疑いをかけられる、あるいは事件を起こさないように根本的に体質を変えるという意思表明は一個もない」と話しました。
広陵高校の今後の対応に注目が集まります。