秋田県の総人口に占める65歳以上の高齢者の割合は39.5パーセントで、記録が残る中では1955年以降その割合は大きくなっています。
高齢化が進む中で大きな課題となっているのが認知症対策です。県内での認知症を持つ人の数は、2024年度の県の推計で約6万8600人いるとされ、近年増加傾向です。
こうした中、県は高齢者の認知症予防に向けた事業を3つの市で始めました。
注目するのは認知機能の低下と聴力の衰え。高齢者を対象に調査することで認知症の早期発見や病院の受診につなげます。
8月8日に取材したのは能代市で開かれた検査会。認知症予防を目的とした県の事業です。参加した地元の高齢者29人の聴力と認知機能を調べています。
事業に協力している秋田大学高齢者医療先端研究センターの大田秀隆センター長は「最近の海外のデータでもそうだが聴力や難聴がある方とかは非常に認知症のリスクが上がるということが明らかにされている。放っておくと耳も悪くなるし、認知機能も落ちてくるので」と話します。
事業は検査だけでなく、専門家が結果に基づいて助言するまでとしていて、認知症の早期発見・対応につなげます。
聴力検査では、ヘッドフォンから高い音や低い音が聞こえたらボタンを押しますが、参加者の中には「なんにも聞こえない」などと話す人も。
また、認知機能については計算や記憶力を試す問題で調べ、結果はその場で分かります。
参加者は専門家からの助言を聞きながら、認知症のリスクについて理解を深めていました。
検査を終えた参加者は「こういう検査は初めて。病院ではこういう検査をしない。すごく地域的には助かる」「難聴で一人でいるため、認知症の予備軍。どういうものかなと思って参加した。米寿くらいまで生きたいから」などと話していました。
秋田大学高齢者医療先端研究センターの大田センター長は「聴力と認知機能に関連性はあると思う。耳の聞こえが悪い方は認知機能の検査が落ちている方が多かった。逆に耳の聞こえが悪くない人は認知機能の検査も悪くない。極端に分かれていた。まだ大丈夫と思っているのが危険。詳しい検査をすると大丈夫かどうか分かるのでまずは受診してみてほしい」と呼び掛けました。
こうした事業は、能代市のほか秋田市と仙北市も対象で、9月から11月にかけて検査会が開かれる予定です。
県は「1人でも認知症になる人を減らしたい」としていて実施する市町村を増やす方針です。