8月21日から長野県軽井沢町で夏の静養に入られた上皇ご夫妻。軽井沢は、お二人が出会われた場所であり、ご家族の夏の思い出がたくさん詰まった場所でもある。今回は、上皇さまが天皇に即位した翌年の平成2年、ご一家で過ごした軽井沢でのご静養の様子を取材した平成2(1990)年9月1日放送「皇室ご一家」(第584回 天皇ご一家の夏休み)を振り返る。
なお、本記事は当時のナレーションをそのまま記載。上皇ご夫妻はそれぞれ「天皇陛下」「皇后さま」。現在の天皇陛下は「皇太子さま」、黒田清子さんは「紀宮さま」と記載する。
両陛下 紀宮さまと軽井沢町へ
この夏、ご公務などでお忙しい日々が続いた天皇ご一家ですが、8月7日、天皇皇后両陛下と紀宮さまは、ご静養のため軽井沢へお出かけになりました。

両陛下が軽井沢で静養されるのは2年ぶりのこと、また即位後は初めてです。

この日は、8月4日から滞在されていた皇太子さまも、午前中に東京で開かれていた「漁船海難遺児を励ます全国のつどい」に出席された後、軽井沢に再び戻られました。
両陛下 皇太子さまとテニスを楽しまれる
久しぶりに軽井沢でお揃いになった天皇ご一家。この日の午後には、両陛下と皇太子さまがテニスを楽しまれました。
この「軽井沢会コート」は、昭和32年に両陛下が出会われ、愛を育まれた思い出のテニスコートです。

両陛下は、ペアを組まれ息の合ったプレーを披露されます。隣のコートでは、皇太子さまが真剣にプレーをなさっています。

夕刻には紀宮さまがお迎えに来られ、天皇ご一家、ゆかりの地・軽井沢でご家族団らんの楽しいひと時を過ごされました。
皇太子さま 籠の登山にハイキングへ
この夏、特にお忙しかった皇太子さまはこの軽井沢でスポーツなどを通し夏を満喫されました。

8月12日には、長野県と群馬県の県境にある籠の登山(かごのとやま)へハイキングに出かけられました。

このハイキングは、8月10日に予定されていた白砂山(しらすなやま)登山が、台風11号の影響で中止となり、代わって行われたものですが、頂上に立たれた皇太子さまは快い汗に満足されたご様子です。
紀宮さま ご探鳥で佐渡へ
一方、紀宮さまは8月10日、軽井沢から新潟県の佐渡へお出かけになり、バードウォッチングを楽しまれました。
翌11日早朝、紀宮さまは野鳥が数多く見られ、トキの保護センターもある新穂(にいぼ)村へおいでになりました。

この新穂ダムでは、ミサゴやオシドリなど約20種の野鳥を観察することができ、紀宮さまは大変感激していらっしゃいました。

またこの日は、大佐渡スカイラインへのドライブも楽しまれました。

スカイラインの展望台からは、佐渡の雄大な景色を望むことができます。

大自然の中、お友達と過ごされたこのご旅行は、紀宮さまにとって学生生活の思い出の1ページとなったようです。
秋篠宮ご夫妻も軽井沢へ
秋篠宮ご夫妻も、8月17日から軽井沢で過ごされました。

今回のご滞在は、ご結婚以来、お忙しかったご夫妻が「お二人だけで過ごせるように」と皇后さまのご配慮によるものです。
お二人だけのくつろいだ時間を持たれたご夫妻。翌18日には、関東平野や上毛三山が一望できる碓氷峠の見晴台へお出かけになりました。

この日は、秋篠宮さまの愛車、フォルクス・ワーゲンでのお出かけ。若きプリンス・プリンセスならではの一コマです。

19日には、お友達とテニスを楽しまれました。

この日は、紀子さまが女性同士、秋篠宮さまが男性同士というプレーでしたが、お互いを気づかわれながらプレーをされるお二人は、とても微笑ましいお姿でした。
両陛下 皇太后さまが待つ那須御用邸へ
毎年、那須御用邸で夏を過ごされる皇太后さまは、8月17日、今年も那須へお出かけになりました。皇太后さまが皇居の外に出られるのは、今年3月の葉山御用邸でのご静養以来、5カ月ぶりです。

皇太后さまにとって、那須は昭和天皇との思い出の地。黒磯駅前では、今年も楽しいひと時を過ごしていただこうと、たくさんの人々がお迎えしました。

8月19日には、天皇皇后両陛下も那須御用邸へ。両陛下は、皇太子時代から昭和天皇の滞在中に那須御用邸をお訪ねになり、親子水入らずの語らいをされています。

ご滞在中の8月22日、天皇陛下はご研究のため、ミヤコタナゴの保護地をご覧になりました。

コイ科に属するミヤコタナゴは、関東地方だけに生息するめずらしい魚で、陛下のご研究に大変参考になったようです。
天皇皇后両陛下 ご放鳥
翌23日、那須御用邸では、両陛下による放鳥が行われました。自然保護のため、昭和天皇が始められたこの放鳥。この日はキジとヤマドリが放たれました。

大自然にふれられ、ご研究やスポーツなど、有意義な時を過ごされた天皇ご一家。今年も思い出深い夏となったことでしょう。
(「皇室ご一家」第584回 平成2年9月1日放送)