最新鋭のステルス戦闘機F-35Bが、ついに宮崎県新富町の新田原基地へ配備された。騒音問題への懸念も根強く、住民からは不安の声も上がっている。また、レーダーに捕捉されにくいステルス戦闘機の配備は専守防衛の枠を破り、武力行使につながりかねないとして抗議集会も開かれた。配備初日の動きを取材した。

 新田原基地にF-35Bが到着

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8月7日午後1時半ごろ、航空自衛隊新田原基地に最新鋭ステルス戦闘機F-35B、3機が到着した。自衛隊へのF-35B配備は初めてのことだ。当初は4機の配備が予定されていたが、1機の点検が間に合わず、3機での配備となった。

早瀬純哉記者:
基地の東側から1機目のF-35Bが飛来してきた。約100メートル先で機体が姿勢を保ちながらゆっくり降下している。轟音が鳴り続けている。

垂直着陸訓練への懸念と住民の声

F-35Bは短距離離陸・垂直着陸が可能なステルス戦闘機である。防衛省は当初、新田原基地では緊急時を除き垂直着陸訓練は行わないとしていたが、2025年2月に夜間も含めた常時実施の方針に変更した。この方針転換に対し、県や周辺住民から反発の声が上がっている。

7日は、地元住民に音の大きさや長さを確認してもらうため、垂直着陸や短距離着陸の実演も行われた。基地で地域住民とともに様子を見ていた新富町の小嶋崇嗣町長は、「『えらくゆっくり降りてくるね』とか『騒音が思ったほどではなかった』という意見も聞こえてきた」と住民の反応を伝えた。

一方で、「今までと違った飛行形態で離着陸することに関しての騒音問題への対策が一番。基地に近いところに対しての対策をしっかり行っていただきたいと(防衛省には)強く申し上げている」と、騒音対策の必要性を改めて強調した。

2025年度中に残り5機を配備する計画

防衛省によると、7日に配備できなかった1機を含め、残り5機は2025年度中に配備される予定である。

いっぽうで抗議集会 専守防衛逸脱への懸念

新田原基地へのF-35B配備に伴い、新富町では宮崎県平和委員会のメンバーなど約50人が参加する抗議集会も開かれた。レーダーに捕捉されにくいステルス戦闘機の配備は専守防衛の枠を破り、武力行使につながりかねないとして反対の声が上がった。

参加者からは「新田原基地にF-35B配備反対」「ガンバロー」といった声が聞かれた。

宮崎県平和委員会の佐川嘉正副会長は、「敵基地を攻撃する、極めて専守防衛からかけ離れた戦闘機だという事が大きな特徴なので、これは許せない」と話した。

 騒音被害への不安の声

騒音被害など負担軽減策が示されないまま、F-35Bの配備が進められていることについて、住民からは不安の声が上がっている。
ある住民は「防音のサッシをしても振動がけっこうある。音というより振動が気になるかな」「基地のある町で仕方ないかも知れませんけど」「騒音と事故が無ければ」といった声が聞かれた。

 防衛省、10月中に住民説明会開始へ

新田原基地では、9月中旬にもF-35Bの垂直着陸などが実演され、防衛省は10月中に住民に対し負担軽減策の説明を始めたいとしている。住民への負担軽減策の説明が終わるまで、飛行訓練は見送られる。

(テレビ宮崎)

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