石破首相は終戦の日の8月15日、東京・千代田区の日本武道館で開催された全国戦没者追悼式での式辞で、「戦争の惨禍を決して繰り返さない。進む道を二度と間違えない。あの戦争の反省と教訓を、今改めて深く胸に刻まねばならない」と述べた。追悼式の首相式辞で「反省」という言葉が用いられるのは、安倍晋三元首相が第2次政権で「反省」の言葉を用いなくなって以来となる。その間、天皇陛下のおことばでは「過去を顧み、深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願う」などと反省が強調されていて、首相式辞との差が指摘されていた。
2013年からの第2次安倍政権の式辞では、それまで首相が式辞で述べていた加害や反省を盛り込むことをとりやめ、「歴史と向き合う」ことに言及した。2020年には「戦争の惨禍を、二度と繰り返さない。この決然たる誓いをこれからも貫いてまいります」とした上で、「歴史の教訓」には触れず、「積極的平和主義」を強調した。
菅義偉首相はこれをほぼ踏襲し、岸田首相は「歴史の教訓」に言及して、歴史と向き合う表現を復活した。
今年の式辞で、石破首相は戦争への「反省と教訓」に加え、「悲痛な戦争の記憶と不戦に対する決然たる誓いを世代を超えて継承し、恒久平和への行動を貫いていく」と強調した上で、「今を生きる世代とこれからの世代のために、より良い未来を切り開く」と、未来への決意を示した。