3回シリーズで夏山の景色をお届けします。

北アルプス・立山と薬師岳をつなぐ「ダイヤモンドルート」を縦走し、地形や自然の魅力を専門家の解説もあわせてお伝えしていきます。

12日は立山室堂をスタートし、「雲上の楽園」五色ヶ原へ向かいます。

北アルプス・立山と薬師岳をつなぐ通称「ダイヤモンドルート」。

変化に富んだ地形を体感できるコースです。

*立山カルデラ砂防博物館 飯田肇学芸員
「”地形”、珍しい地形、氷河のつくった地形、火山のつくった地形、水のつくった地形、典型的なものをたっぷり見ることができる大変貴重なコースだと思いますね」

太古からの自然の歴史、悠久のときに思いを巡らせながら歩きます。

*リポート
「ひんやりとした風が心地いい夏山の朝です。変化に富んだ縦走路、ここ室堂からスタートです」

今回の「ダイヤモンドルート」、まずは立山室堂を出発し、およそ2時間。

雄山の隣に位置する「浄土山」へ向かいます。

*リポート
「浄土山です、一気に登ってきました。雲上の世界という感じがしますね。そしてこの奥、南西の方角にはこれから歩いていく山々、ルートが見えます。果てしない感じがしますね」

浄土山からはその隣に巨大な窪地も見えます。

「立山カルデラ」です。

ここにはかつて火山がありました。

*立山カルデラ砂防博物館 飯田肇学芸員
「ちょっと想像しがたいんですが、今の稜線につづいて、上の方にずっと火山の斜面が伸びていた。今の立山カルデラの上に富士山のような『成層火山』があった、大きな火山があった、そういうことが言われています」
「大きな噴火が始まったのは20万年ほど前。特に大きな噴火があったのは10万年ほど前。今の弥陀ヶ原や五色ヶ原をつくった大きな噴火があって、火砕流が出て、弥陀ヶ原の大地などができたというふうにいわれています」

活発な火山活動と浸食作用で現在の地形がつくられました。

火山の山頂部分は崩れ去り、今はその裾野だけが残っている状態です。

そんなかつての火山活動、「火の山」の痕跡を横目に1日目のゴール「五色ヶ原」へ。

「鬼岳」「獅子岳」を経由し、岩場の続く登山道を進みます。

*リポート
「いま鬼岳の辺りを歩いています。向かって右側、この山の西側は立山カルデラです。そして向かって左側、こちらはカールです。まさに火山の世界と氷河の世界の境目を歩いているというような感覚です」

鬼岳の東側にみられるのは、氷河地形の「カール」。

氷河が長い時間をかけて山肌を削り取り形成した谷です。

「火の山」と「氷の山」がつくりだした地形が同時に味わえる珍しい登山道です。

*リポート
「1メートルほどの雪の壁です」

そして再び「火の山」の世界へ。

五色ヶ原に向かう登山道の右手には、立山カルデラの切れ落ちた断崖が見えます。

かつて何度も噴火を繰り返した火山の痕跡…

約15万年から10万年前までの地層を3層にわたって見ることができます。

山に刻まれた地球の歴史です。

「雲上の楽園」と呼ばれる五色ヶ原も火山活動で流れ出た溶岩がつくった台地です。

*リポート
「着きました!五色ヶ原山荘です。一段と空が広く感じます」

独特な地形が織りなす、北アルプスの「ダイヤモンドルート」。

次回は五色ヶ原から「水の山をたどる」旅です。

富山テレビ
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