全国レベルで活躍している若きアスリートが福井市にいます。中学3年生の竹野伊織選手は、日本中学記録をもつスイマー。進化を続けるあくなき探求心に迫りました。
◆1歳から始まった水泳人生、5歳で“開花”
福井市にある金井学園スイムクラブでダイナミックな泳ぎを見せる竹野伊織選手(15)。2025年3月に東京で開かれたJOCジュニアオリンピックカップ200mバタフライで、競泳元日本代表の瀬戸大也選手が持っていた短水路日本中学記録を更新し、1分54秒78で優勝した、今、大注目の中学生スイマーです。
1歳の時、両親の“丈夫な体になってほしい”との思いから始まった竹野選手の水泳人生。そこから水泳にのめり込むも、水泳漬けの日々が続く中で、これ以上続けたくないと思ったこともあったといいます。
「タイムが出なかったり、友達と遊んでる時間の方が楽しいなとか、逃げ道を考えていたことはあった」(竹野選手)
なかなか良いタイムを出せなかった中で大きなポイントとなったのが、小学5年生で臨んだジュニアオリンピック。初めて決勝に残り、準優勝を果たしました。「その時、周りの速い選手と泳ぐのが楽しいと初めて感じて、その時から速い人たちと戦うのがすごく好きでやっていると思います」
◆「自分で自分をコーチできる能力ある」
自身の強みについて竹野選手は「壁を蹴る時と、その後の水中動作は、そこで差をつけているので、多分誰よりも強いと思います」と分析。「同世代だと、ターンして潜った後にすぐ上がってきちゃうけど、僕はルール、ギリギリの15メートルまで行く。練習から毎回、力強くやるようにしてます」
3年前から指導している松田コーチは、竹野選手の魅力についてこう語ります。「一番いいと思うのが、俯瞰(ふかん)して自分のことを見てるところ。僕が言うのも変ですけど、自分で自分をコーチできるような能力が、彼はすごく高いっていと思う」
さらに「僕が作ったメニューを、彼は勝手に変えちゃう時が結構あって、後で聞いたら自分に合った内容に変えました、とか。やっぱり考えてるんですよね、常に。レースにどうやったら練習をつなげられるかという所を考えてやってくれている」と続けます。
竹野選手の、日頃の練習から細部までこだわる姿勢が、チームにもいい効果を生んでいると松田コーチは言います。
◆モットーは「変化を恐れない」
竹野選手のこれからについて松田コーチは「体も発達段階でこれから筋力も上がってくるだろうし、本人も分かってると思うが、持久力など苦手な部分があるので、そこを突き詰めていければ高校、大学と伸び続けられる選手になる」と期待を込めます。
その竹野選手が日々意識、実践しているのは「変化を恐れない」こと。「変えないと結局、同じ結果になる。同じ結果になるのが一番嫌なので、別にタイムが落ちても、違う泳ぎができればそれは収穫なんで、そういう風に捉えています」(竹野選手)
中学生としては最後の夏に竹野選手が狙うのはー
「全中で100mバタフライと200mバタフライで優勝すること」
その後もジュニアオリンピック、国民スポーツ祭と大きな大会が続きます。
「厳しい戦いにはなるけど、負けてもいいから、とりあえずは自分の実力がどんなもんなのかということ。日本中学記録があと1秒ぐらいなので、更新にはこだわっていないが、目標として入れている」 (竹野選手)
将来についてはー
「どこまで水泳を続けるかは決めていないけど、今まで全国で戦っていたので、世界で色んな国の人とも戦ってみたいし、そこで勝ちたい」
竹野選手は、17日から始まる全国中学校大会に出場。22日から26日には全国JOCジュニアオリンピックカップ、9月13日から15日に国民スポーツ大会と、大きな大会に続けて出場します。
県内の水泳界を引っ張り、全国トップレベルで活躍している竹野選手。さらなる活躍に期待が高まります。