記録的な大雨による「内水氾濫」の被害も相次ぎました。
福岡・北九州市では、坂道を運転する車の前から大量の水が。
映像には「えっヤバイヤバイヤバイ…普通にヤバイ」「これ普通に上らない方がよくない?」という音声も記録されていました。
さらに、川のようになった道路の水が流れ込んでいたのはユニクロの店内。
店ではスタッフが復旧作業にあたっていました。
宗像市では道路が至る所で冠水。
映像では、道路のアスファルトが割れ、水があふれ出る様子が確認できます。
九州地方を襲った集中豪雨では、「内水氾濫」とみられる浸水被害が相次ぎ、生活に大きな影響が出ています。
川の水があふれてくる「外水氾濫」に対し、「内水氾濫」とは、市街地で長時間大雨が降ることで河川の水位が上がり、下水道管から逆流した水がマンホールなどから噴き出して浸水する現象です。
2019年10月、日本列島に上陸し大きな被害をもたらした台風19号。
多摩川の増水により、東京や神奈川で内水氾濫による浸水被害が出ました。
川崎市では、多摩川に近い住宅街で大きな被害が出る一方で、川から約1km離れているにもかかわらず武蔵小杉駅周辺でも浸水が発生。
駅の通路に水が押し寄せ、改札が水没しました。
水が引いたあとも入場規制が続き、駅前には長蛇の列ができるなど影響は長期化しました。
さらに2024年8月、新宿駅前では驚きの光景が。
ゲリラ雷雨でマンホールから噴水のように噴き出る大量の水。
マンホールのふたは空高く飛んでいました。
都市部に被害をもたらす「内水氾濫」。
番組が以前、埼玉県の研究施設で取材した際の映像があります。
豪雨が発生した場合、マンホールのふたにどのような変化があるのかを実験したものです。
40kg以上の重さがあるマンホールのふたが簡単に吹き飛び、約10秒後には水が噴き出し、周囲はあっという間に冠水してしまいました。
この時、マンホールの中では、下水道管から川へと排水される水の量が限界を超えた瞬間、水が逆流。
すると、下水管の空気が圧縮され、マンホールのふたを吹き飛ばしてしまうのです。
過去10年間で浸水被害を受けた建物の約6割が内水氾濫によるもので、その被害額は全国で約1.4兆円にも及んでいます。
防災システム研究所・山村武彦所長は「内水氾濫で一番最近多いのは車、車両の浸水。アンダーパスの中に突っ込んでしまったり、住宅街の駐車場で車が浸水してしまう。冠水するようなアンダーパスは、あらかじめ確認しておく、近づかない。自治体のホームページを見れば内水氾濫のハザードマップが出ているかもしれない。事前に確認しておくとよい」と注意を呼びかけています。