8月7日から日米両政府の合意でアメリカへの輸出品に15%の関税がかかります。製品を輸出する長野県内企業も影響は避けられず、対応を迫られています。
石破首相(7月23日):
「25%まで引き上げるとされていた日本の関税率を15%にとどめることができた」
7月、日米両政府で合意した一律15%のいわゆる「トランプ関税」。アメリカへの輸出品は4月に一律10%に引き上げられましたが、8月7日からさらに5%上乗せされます。
佐久市に本社のある樫山工業。半導体の製造などに欠かせない「真空ポンプ」が主力製品です。大手の半導体メーカーが集まるアメリカへの輸出にも力を入れていて、売り上げは会社全体の1割に上ります。
関税引き上げの影響は少なくありません。
樫山工業 欧米営業部・比田井陽秀部長:
「率直に言うと、もう少し低い数字で落ち着くことができればよかったと思う」
関税の引き上げ分は、販売価格に上乗せする方針です。今のところ取引先からの受注に大きな変化はないということですが、今後の状況を見ながら対応を検討していくとしています。
樫山工業 欧米営業部・比田井陽秀部長:
「現地で真空ポンプを製造するとか、そういったものもひとつのアイデアだと思うが、現状そういった判断をするのは時期尚早というか、この先の様子も見ながら検討が必要」
近年、アメリカで人気が高まっている日本酒も影響は避けられません。
宮坂醸造 社長室・宮坂勝彦室長:
「関税が15%かかるというのは、われわれとしても本当に大きなインパクトだし、こういったことがこの先も続くようであれば、世界に対する戦略をもう一度考えなければならない。おそらく当面は、新しい価格に慣れるまで、(輸出の)数量は減るでしょうし」
1662年創業の諏訪市の宮坂醸造。約20年前から主力の「真澄」を現地の代理店を通じてアメリカに輸出しています。近年の和食ブームもあり、輸出量は年々増えていて、全体の売り上げの約5%を占めています。
関税によってマイナスの影響も予想されますが、日本酒の国内の消費が減る中、アメリカ市場は今後に向けても重要なマーケットであり、引き続き、セールスに力を入れていきたいとしています。
宮坂さん:
「新しい価格でいかに価値がある商品だと認めてもらえるかどうかというものは、本当にこれからの勝負かなと思う。厳しい局面だからこそ現地に行って、現地の方々と一緒に手を取り合って、マーケットを広げていくということをやっていきたい」
一方、相互関税については、「一律15%」とする日本側に対し、アメリカ側は「一律15%上乗せ」を主張しているとして、認識の食い違いを指摘する声も上がっています。
政府は「日米間にそごはない」として、15%を上乗せされることはないとの認識を示しています。