カキ殻が大量漂着 津波の影響でさらに深刻に

宮城県石巻市の海岸に、カキの殻が大量に打ち上げられている。
近くのカキ養殖場から流れ着いたとみられ、今年は海開きが中止される事態となった。

さらに、7月30日にカムチャツカ半島沖で発生した地震による津波のあと、海岸の漂着物は一層増加。カキ殻が10センチ以上積もっている箇所もあり、漁網やロープなども散乱している。

管理する宮城県は「自然物」として静観の構えを見せているが、今後、回収の対応も視野に入れて検討している。

8月5日撮影 宮城・石巻市長浜海岸 カキ殻が砂浜を埋め尽くす 以前より増加している
8月5日撮影 宮城・石巻市長浜海岸 カキ殻が砂浜を埋め尽くす 以前より増加している
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砂浜が“真っ白”に 最大70センチの津波で漂着物さらに増加

問題の現場は、石巻市の長浜海岸。
記者が取材に訪れた8月5日には、砂浜一帯が白く染まり、カキ殻が10センチほど積もっていた。
中にはカキ養殖用のロープや漁網も打ち上げられており、広範囲にわたり漂着物が散乱していた。

この現象は、7月30日朝に発生したロシア・カムチャツカ半島沖の地震に伴う津波の影響とみられる。
石巻港では最大70センチの津波が観測されており、波や潮流によって沖合から漂着した可能性がある。

中身のないカキ殻が砂浜に散乱 非常に景観を損ねている
中身のないカキ殻が砂浜に散乱 非常に景観を損ねている

「安全確保できず」渡波海水浴場は3年連続で海開き中止

長浜海岸を含む「渡波海水浴場」は、かつて年間8000人以上が訪れていた人気のスポットだが、今年も海開きは見送られた。
以前からカキ殻の漂着が問題となっており、「安全を確保できない」と判断されたためである。

石巻市観光政策課 内藤昌利課長:
「裸足で歩く海水浴場では、カキ殻によるけがのリスクが高い。安全を確保できない以上、市営海水浴場としての開設は難しいと判断しました」

渡波海水浴場では、おととしには大量の魚の死骸が漂着し、去年・今年と2年連続で開設を断念している。

遊泳禁止を告げる看板 渡波海水浴場は今年も海開き中止となった
遊泳禁止を告げる看板 渡波海水浴場は今年も海開き中止となった

市民「子供と遊べない」 行政は慎重姿勢

一方、浜辺を訪れた市民からは「片づけてほしい」「子供と遊ぶ場所が減ってショック」といった声が上がっている。

これに対し、石巻市は当初「流木などと同じ自然物」であり、「処分には多大なコストがかかる」として、回収を行わない方針を示していた。

石巻市観光政策課 内藤昌利課長:
「費用もかかることを考えると、自然現象により漂着しているものであり、現時点では様子を見守りたい」

一方、長浜海岸を管理する宮城県東部地方振興事務所は、「カキ殻の漂着量などを一定期間観察したうえで、回収の可否を検討する方針」としている。

今後、実際に回収に踏み切るかどうかが注目される。

7月23日撮影 砂浜に漂着したカキ殻は津波後に一気に増加した
7月23日撮影 砂浜に漂着したカキ殻は津波後に一気に増加した
仙台放送
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