連日の猛暑で富山県内の水不足が深刻化している。特に農家にとっては死活問題となっており、砺波市山間部では田んぼに引く水が足りなくなり、市が初めて給水車を出動させる事態となった。
「5センチのひび割れ」農家の切実な声


砺波市栴檀山地区では、土壌が乾燥してひび割れを起こした田んぼに、市が手配した8トンの水を載せた給水車2台が出動し、田んぼや農業用水路への緊急給水作業が行われた。地元農家は「最悪、5センチくらいのひび割れがあった。焼石に水なんだけど、ありがたいこと」と話す。

砺波市で栽培されるコシヒカリは特に水を必要とする出穂期を迎えているが、7月の降水量は平年のわずか7.7%と記録的な少なさだ。農業用水路やため池の水は例年より大幅に減少している。
「過去にない渇水状況」市が初の全面支援

市はこれまで、農家が近くのため池や湧き水から田んぼにポンプで水を送るための費用を9月までの3ヶ月間、農協と事業者と分担して補助することを決めていた。しかし、そのため池の水も雨が降らず底をつき始めたため、市が全面的な支援を開始した。

砺波市農業振興課の吉田光英さんは「過去にない渇水状況と認識している。今コメがない中、少しでも食卓にコメを届けるため行政としても支援を続けたい」と述べている。
記録的な少雨、県内広域で深刻な影響
給水車の出動は7月26日から中山間地を中心に6地区で始まり、31日までに延べ83台に上っている。市は給水を求める地域が相次いでいることから、当面の間は既に給水をした地域でも天候を見ながら再度の給水も検討するとしている。
給水を終えた農家は「10何年やっているけれどこんなひどいのは初めて。水をもらったから(稲穂)が喜んでいる。これが何日持つか、もう3日ほどしたらだんだん白くなる。雨がない以上はやっぱり給水車が来てくれないとせっかく植えた田んぼが実らない」と不安を口にしている。
7月の降水量は県内全域で記録的に少なく、朝日町では平年のわずか1.8%となる4.5ミリしか記録されていない。高岡市伏木や氷見市も平年の5%前後という深刻な状況だ。6月も降水量は平年の半分程度と、カラ梅雨のまま県内は猛暑の夏を迎えている。