長野県石油商業組合をめぐるガソリン価格の事前調整疑惑。組合の組織ぐるみでのカルテル行為を認めた第三者委員会の報告書を受け、組合は県に対し、「報告書の指摘、評価を真摯に受け止め、再発防止に努める」とする報告書を提出した。
「事前調整を把握も違法性の認識欠如」
7月28日夕方、県庁を訪れた県石油商業組合の幹部。ガソリン価格のカルテル疑惑について第三者委員会の報告書を踏まえ、改めて事実関係や対応方針を県に報告した。

県石油商業組合の高見沢秀茂理事長は「(第三者委の)指摘、評価を真摯に受け止める。原因は本連絡(事前調整)について、把握していながら違法性の認識の欠如にある」と県に伝えた。
当初から組合幹部は関与を否定
2025年2月に組合に浮上したガソリン価格を電話連絡などで事前調整したとされるカルテル疑惑。組合幹部は、当初から関与を否定してきた。
疑惑が報じられた2月、平林一修専務理事は「青天の霹靂。(組合の関与は)200パーセントない」と述べ、関与を完全否定していた。

しかし、組合が設置した第三者委員会は、6月、「組織ぐるみで事前調整が行われていた」とする報告書を公表。「独占禁止法に抵触する不当な取引制限行為(カルテル)」と認定していた。

組合は、報告書を「重く受け止める」としたが、「組織ぐるみ」とされた点については、「見解の相違がある」として改めて否定していた。
「長年習慣として行われてきた」
7月28日の報告は、「中小企業団体の組織に関する法律」に基づいて、県が組合に要請していたもので、組合側は、「報告書の指摘、評価を真しに受け止める」とした上で、問題の原因について高見沢理事長は「(事前調整は)一部の地域の組合員間において長年習慣として行われてきたもので、組合員は違法性の認識を欠いたままこれを続けてきました」と報告した。

また、組合の関与については、「組合は本件連絡(事前調整の連絡)が行われていることを、北信支部の支部長から組合事務局への連絡によって把握していました。ただ、その全貌・詳細については掌握しておらず、違法性も認識していませんでした」と述べた。
また、疑惑が浮上した直後に、事実関係をしっかり把握しないまま報道陣などに疑惑を否定するコメントをしたことについては、「コンプライアンス意識の不足を猛省する」とした。
再発防止に人事刷新、ガバナンス強化
再発防止に向けては、組合内にコンプライアンス委員会を設置し、法令順守について組合員に啓発を行うことや、幹部の人事を刷新するなどガバナンス強化を図ることをあげた。
報告書を受けた県は、内容を精査するとした上で、事実の解明に向けて公正取引員会の調査にしっかり協力するよう求めた。
改めて「組合からの指示」は否定
報告後、取材に応じた組合幹部は、改めて「組合からの指示」は否定した。
価格連絡があったこと自体は知っていたのかと問われると、平林専務理事は「正直な話、北信支部からたまにそういう連絡が、長い昔からではありませんが、ちらほらあったということを、今振り返りますと、その時点では感じておりませんでしたけど、今となってみればそういうことだったのかなと。黙認ではなく、聞き流していたという。コンプライアンスに対する認識の欠落の中で、そういうレベル(組織だった価格調整ではない)だというふうに」と述べた。

第三者委の報告にあった、専務理事が指示を出していたという指摘については、「そのようなことは一切ございません。話している方を連れてきていただいて、皆さんの前できちっとお話をしていただきたい。価格に対してわれわれがああしろこうしろと言うことは一切ございません。それだけは天地神明に誓って申し上げます」と改めて否定した。
(長野放送)