長野県石油商業組合に加盟するガソリンスタンドの関係者が取材に応じ、「不当な取引制限行為・カルテル」があったとした第三者委員会の報告書について、「かなり踏み込んだ内容」と評価した。一方、「組織ぐるみ」とされた点を改めて否定した組合幹部に対しては、「知らないはずがない」と強く非難した。
「独禁法に抵触するカルテル」認定
6月30日、県石油商業組合が設置した第三者委員会が、ガソリン価格のカルテル疑惑に関する報告書を公表。価格調整の連絡について、第三者委員会の田下佳代委員長(弁護士)は「カルテルがなされていたと認められる」と述べた。

「組合の組織ぐるみで行われていたと評価せざるを得ない」とし、独占禁止法に抵触する「不当な取引制限行為」と認められるとした。
GS関係者「踏み込んだ内容」と評価
この報告書について、北信地域でガソリンスタンドを経営する関係者は「具体的に(価格調整が)『あった』と認定までいって、改善策まできちんとお示ししていただいたのは、かなり踏み込んだのかなと思う」と評価した。

組合幹部が報告書を真しに受け止め、信頼回復へ向けて組織が生まれ変わっていくことに期待し、「本来の目的である行政との橋渡しとか、そういったところに注力してほしい。これでお客さまに対しても本当に誠実に向き合えるようになったので、これからどう信頼を勝ち取っていくか、取り戻していくかというところだと思う」と話した。
組合側は「組織ぐるみ」を否定
しかし、報告書の公表を受けて記者会見を開いた組合は、改めて「組織ぐるみ」とされた点を否定し、価格調整は、あくまで「支部が行っていたもの」との認識を強調した。

長野県石油商業組合の平林一修専務理事は、6月30日の会見で「カルテル行為を日常的にやっていることを、私どもは全く承知していなかった。(報告書を)まだ精査しておらず何とも言えないが、若干のそごがあると思っている」と主張した。
幹部の発言は「トカゲのしっぽ切り」
報告書の提出を受けながらなお、自身の主張を繰り返す組合幹部の発言について、ガソリンスタンドの関係者は「『支部のせいで俺らは悪くありません』という、びっくりしましたよ。さも店舗が悪いみたいな論調にもっていくので、どうしたいんですかね、この業界を。がっかりです。トカゲのしっぽ切りですよ、恐ろしいことに」と強く非難した。

今後、組合からの脱退も検討するとしている。
ガソリンスタンド関係者は「知らないんだとしたら、そんな現場を見られない人に幹部を任せてられないので、組合解体してくださいと。現場に寄り添わない人が幹部やる、自分の店舗の価格連絡をわかってないような理事長がいる。そんな組織ないですよ。正直、かなり強い気持ちで脱退や退会を検討していかなければいけない。決して安くない会費払ってますから。第三者委員会の報告がありのままだと思いますよ、知らないわけがない」と憤った。
(長野放送)