長野県石油商業組合に加盟する長野市内のガソリンスタンドの間で、店頭表示価格を事前に調整していた疑いが浮上した。関係者の証言によると、少なくとも数年前から価格を知らせる電話連絡があったという。県は事態を重く見て、組合に全県を対象とした調査と速やかな報告を求めた。一方、組合側は「コンプライアンスに違反することは一切ない」と主張している。消費者からは怒りの声が上がっており、真相解明が急がれている。
「価格を知らせる電話はある」
ガソリンスタンド運営会社の担当者は取材に応じ、「新聞報道にあったように『何円』、というような形では連絡があるやに聞いているが、(スタンドには)『ああそうですか、わかりました』というだけで対応するように伝えている」と証言した。
少なくとも数年前からスタンドに直接、同業他社から価格を知らせる電話があることを明かした。

担当者は「(電話は『いくらにしろ』という内容?)全くそういうことはない。それだったら抗議するので。小売価格の情報共有というところでいけば、別に問題ないが、弊社では聞き流してますけど、受け手側の捉え方の問題かなと思う。慣れてない方だと重く受け止めてしまう人もいるかもしれません」と説明した。
県が組合に調査を求める
長野県は2月6日、組合に全県を対象に調査し速やかに報告するよう求めた。
組合は調査をして2週間をめどに報告する方針だ。

長野県石油商業組合の高見沢秀茂理事長は「組合としてコンプライアンスに違反するようなことは一切ない。一部、下部組織でもし行われていたなら、速やかに是正し、県民の信頼回復に努めたい」とコメントした。
「腹立たしい」消費者の怒り
街頭インタビューでは、消費者から怒りの声が聞かれた。70代男性は「長野は日本で一番とか二番とかに高いんでしょ。一因としてそういうこともあるのかなと。そういうことについては腹立たしい」と述べた。70代女性は「消費者のことを置き去りにされちゃうのかなと思う」と懸念を示し、30代男性は「ちゃんとした適正な価格でガソリンを提供してほしい」と要望した。

取材に応じた担当者は、事前調整の疑いにより現場のスタッフに言われなき誹謗中傷が寄せられることを懸念していた。一刻も早い真相の解明が求められている。
(長野放送)