「十七音」に青春をかける松山東高校文芸俳句部 全国大会への挑戦

愛媛県松山市の夏といえば「俳句甲子園全国大会」。

高校生たちが五・七・五の十七音に情景や思いを託し、俳句の出来栄えを競い合う大会だ。

8月に開催される全国大会に向けて、松山東高校・文芸俳句部の生徒たちが熱い練習に取り組んでいる。

俳句甲子園とは俳句の出来栄えを競い合う大会
俳句甲子園とは俳句の出来栄えを競い合う大会
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全国最多出場の強豪校 13大会ぶりの日本一を目指す

円陣を組んで:
「一句入魂 頑張っていきまっしょい!」

決勝句:
「島を去る 手に寄居虫の よく懐く」

現代俳句の生みの親・正岡子規を輩出した松山東高校は、俳句甲子園への出場回数が全国最多の26回を数え、これまでに2度の日本一を誇る強豪校だ。

先月の地方大会で全国の切符を手にした2、3年生のAチームは、13大会ぶりの全国優勝を目指している。

正岡子規を輩出した松山東高校
正岡子規を輩出した松山東高校

「袋回し」で即興力を鍛える

部室では10人の部員たちが黙々と俳句作りに取り組んでいた。

山本恭児部長:
「お題として”国”っていうのを書いて、これを全体に回していって、この漢字を使った俳句を最低1句以上詠むっていうものです」

彼らが行っていたのは「袋回し」と呼ばれる練習法だ。茶封筒に書かれたお題を10人全員で3分ごとに回し、即興で俳句を作成していく。

チームのムードメーカーである3年生の坂上昊翼(そら)副部長は、30分の練習でなんと65句も詠んだという。

即興で俳句を作成していく
即興で俳句を作成していく

実践形式の練習で鍛える批評力

部員たちも俳句を書き留めるノートをびっしりと埋めている。

部員たちは他にも、今年の全国大会の予選の兼題がと発表されると、実際に触れたり食べたりして向き合う。

指導するのは、これまで顧問を務めた4校の俳句部全てを全国大会に導いてきた櫛部隆志顧問。

櫛部隆志顧問:
「せっかく袋回しして作ったけん、袋回しの句も含めて、先鋒・中堅・大将の3句勝負をやらんか」

「天牛」や「心太」を実際に触れたり食べたり
「天牛」や「心太」を実際に触れたり食べたり

それぞれ3分ずつ相手の句を批評

俳句甲子園の対戦形式に合わせて、2、3年生のAチームと1年生のBチームに分け、実践練習を行っている。

俳句甲子園では、対戦する2チームが兼題の俳句を披露した後、それぞれ3分ずつ相手の句を批評する。

質疑・応答は1回につき30秒以内と厳しい時間制限があり、審査員が俳句の出来栄えや鑑賞力を評価する。

「30秒以内に言いたいことを全部言おうとしたら早口になってしまって逆に伝わらなくなったり、3分間の1番最後にバーンって言ったらいい感じに決まる言葉とかもあったりします」と2年の青野そらさんは語る。

考えるだけなら簡単だが、本番で実践するのは難しいと感じているようだ。

俳句甲子園の形式に沿った実践練習を行う
俳句甲子園の形式に沿った実践練習を行う

和気あいあいとした雰囲気で深い解釈を

Aチームの特徴について山本恭児部長は「仲の良さ」と答える。「和気あいあいとした空気だからこそ、より俳句の深くまで一緒に語り合えて、解釈もより深められる」と、チームの強みを語った。

全国大会を前に、1年生からAチームへエールが送られる。

「ラムネ持ち十七音の景色越え」という応援俳句に、山本部長は「僕たちもずっと十七音の向こうにある景色っていうものを夢見て現在、俳句を作っているので、すごく励みになります」と応えた。

8月23日から開かれる俳句甲子園全国大会には、松山東高校のほか、愛媛からは愛媛大学附属高校Aチーム、愛光高校、済美平成中等教育学校も出場する。

彼らの十七音に込めた思いが、どのような景色を描き出すのか。俳句の街・松山で繰り広げられる熱い夏の大会に注目だ。

1年生からAチームへエールが送られる
1年生からAチームへエールが送られる
テレビ愛媛
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