猛烈な暑さが続く長崎県内では、熱中症とみられる症状で救急搬送される人は前年の1.5倍だ。6月27日の梅雨明け以降、7月30日までに熱中症警戒アラートが26日間も発表されている。この異例の暑さの中、人々はどのように過ごしているのだろうか。

熱中症の救急搬送は1.5倍増加

ギラギラと照りつける太陽の下、この日は午前中から気温が30℃を超えていた。長崎市の稲佐山公園には、水遊びする親子連れや散歩をする人の姿があった。

午前中から30℃を超えていても親子で水浴びする姿が
午前中から30℃を超えていても親子で水浴びする姿が
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ある父親は「塩分補給とか水分をこまめに取っている」と話し、「早めにここで遊んで、そのあとは家で涼んどこうかな」と、暑さを避ける工夫をしていた。散歩中の女性グループは「年々暑くなっている。体の回復が遅い」と感じていた。

暑さのピークは家で過ごす人も多い
暑さのピークは家で過ごす人も多い

暑さのピークとなる午後は、家で過ごす人も多いようだ。

今年は梅雨明けが6月27日と平年より22日も早く、異例の暑さがいきなりやってきて、いまは夏真っ盛りだ。

熱中症とみられる救急搬送は前年の1.5倍だ
熱中症とみられる救急搬送は前年の1.5倍だ

長崎市消防局では連日、熱中症とみられる救急要請が相次いでいる。市消防局管内では、5月から7月22日までに熱中症での救急搬送は138件と、2024年の同じ時期と比べて約1.5倍増加した。

救急隊員の熱中症対策は「保冷剤」

長崎市消防局の下川公浩救急救命士は「暑さに慣れているのか、エアコンをうまく使用していなかったりする」と指摘する。

「扇風機で大丈夫」「そんなに暑くない」と言う人に限って家を訪問すると「すごく暑い」と感じることが多いという。

救急隊員の熱中症対策は「保冷剤」だ
救急隊員の熱中症対策は「保冷剤」だ

時に過酷な現場に向かう救急隊員。熱がこもりやすい感染防護服の下に、この夏から使っているのは「保冷材」だ。

冷却ベストの両脇と背中に「保冷剤」
冷却ベストの両脇と背中に「保冷剤」

保冷剤を両脇と背中に入れた「冷却ベスト」を着て、その上に感染防護服を身に着けているのだ。それが救急隊員の「熱中症対策」。多い日では1日に10件の熱中症の救急要請があり、出動の度に保冷剤を入れ替えて、日々対応にあたっている。

親指の爪で簡単チェック! 脱水症状を早期発見

熱中症対策の講演をしている長崎産業保健総合支援センターの産業保健相談員・黒崎靖嘉さんによると、この夏は梅雨明けが異例の早さで、体が暑さに慣れる「暑熱順化」ができていないことが熱中症増加の要因だという。

「脱水症状」が起きたら要注意!
「脱水症状」が起きたら要注意!

熱中症になる前に「脱水症状」が起こるため、この時点で異常を察知することが大切だ。

脱水症状のチェック方法は簡単。次の2つをやってみよう!

▶手の甲の皮膚をつまんで離す
→皮膚が元に戻るのに2秒以上かかれば「脱水」の可能性がある。

▶親指の爪を押さえて離す
→通常はすぐにピンク色に戻るが、白いままの状態が3秒以上続くようであれば「脱水」が疑われる。
※どちらの場合も、すぐに水分を摂取する必要がある。

「朝食抜き」は熱中症リスクが2.7倍

「熱中症になりやすい人」には共通点がある。それは「朝食をとっていない」ということだ。

人は寝ている間にも水分が失われていて、体重60kgの人が6時間ぐらい寝ると、だいたい500mlのペットボトル1本分ぐらいの水分が体から抜けている状態になる。

朝食を食べない人は熱中症リスクが2.7倍
朝食を食べない人は熱中症リスクが2.7倍

朝食を食べない人は、食べる人に比べて約2.7倍も熱中症になりやすいというのだ。

夜間もエアコン必須「冷やしすぎない」

熱中症対策としては、エアコンの適切な使用も重要だ。

エアコンは「冷やしすぎない」
エアコンは「冷やしすぎない」

設定温度は25〜28℃を目安にし、外気温と5℃以上差があると体調を崩しやすいため「冷やしすぎないこと」がポイントだ。

夜も気温が高いため、就寝中もエアコンは必須となる。エアコンをつけるのが苦手な人は、風が当たらないように風向きを変えて使用するのがおススメ。

水分補給は「水」を適宜

水分補給は「喉が乾かないように定期的に飲むこと」が大切だ。

水分補給には「水」を飲むこと
水分補給には「水」を飲むこと

20〜30分ごとにコップ1杯(100〜200ml)が目安。コーヒーや緑茶などは利尿作用があるため、水がおススメだ。

黒崎さんは「熱中症は誰でもなりうる病気で、気づかないうちに進行している」と強調する。

熱中症の主な症状
熱中症の主な症状

「めまい」「手足がつる」「なんとなくきつい」は熱中症の初期症状だ。「頭痛」「吐き気」はすでに中等症になっている。「ペットボトルが自力で開けられない」のは重度の熱中症。そうなると後遺症が残る危険性があり、最悪の場合、死に至る。自分自身の命を守るために少しでも体調に異変を感じたら救急車を呼ぶべきだ。

(テレビ長崎)

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