愛媛の夏を彩る風物詩
昭和から平成に受け継がれる愛媛の夏の風物詩。
宇和島・和霊まつりの熱気、土用の丑の日の賑わい、そして待ちわびた梅雨明けの喜びまでー昔と今をつなぐ一日の記憶をたどる。

牛の迫力と熱気あふれる宇和島の夏祭り
昭和55年(1980年)7月24日、宇和島市の「和霊まつり」は2日目を迎えていた。
名物の闘牛大会には約2000人のファンが詰めかけ、牛たちの巨体が激しくぶつかり合うたびに大きな声援が上がった。
祭りのもう一つの呼び物である牛鬼パレードでは、10体の牛鬼が市内の目抜き通りに繰り出した。沿道の見物客も真夏の暑さを忘れ、祭り気分に酔いしれていた。

平成の夏もにぎわう「土用の丑の日」
平成4年(1992年)の7月24日は土用の丑の日。
松山市のうなぎ料理専門店は昼時を前に仕込みで大忙しとなった。この日に用意されたうなぎは平日の約20倍にあたる2万匹。臨時のアルバイト25人が準備や電話対応に追われていた。
網焼き台ではうなぎが次々と焼かれ、その香ばしい匂いに誘われた大勢の市民が買い求めていた。レジには長蛇の列ができ、店員たちは笑顔で応対しながらも、手際よく商品を包装していく。
夏の風物詩として定着した「うなぎの日」の光景は、平成の時代にも色あせることなく続いていた。

子どもたちの夏の思い出づくり
平成13年(2001年)、県立とべ動物園では夏休み恒例のサマースクールが開催された。
小学生が動物の世話を体験できる人気イベントで、サルの班に配属された子どもたちは、生まれて100日あまりのマンドリルの赤ちゃんに哺乳瓶でミルクを与える貴重な体験をした。
象の班は水浴びをさせるなど、普段はできない体験に子どもたちは目を輝かせていた。
室内での活動も含め、参加した子どもたちにとって忘れられない夏の思い出となったことだろう。

待ちわびた梅雨明けに街は活気づく
平成27年(2015年)のこの日、四国地方はようやく梅雨明けを迎えた。この年は平年より6日遅く、2015年と比べると1か月も遅い梅雨明けだった。
「久しぶりの青空。長かった梅雨がようやく明けて、いよいよ夏本番です」
街の人々からは「明けたんですか」「遅かったですよね」「まだ明けないかと思っていたけど良かった」といった声が聞かれた。

プール最高!気持ちいい!
ようやく訪れた梅雨明けに街の人々も一安心。
子どもたちはプールで水遊びをするなど、本格的な夏の訪れを楽しんでいた。
「プール最高!気持ちいい!」という子どもたちの声が夏の始まりを告げていた。
昭和から平成へと時代は移り変わっても、7月24日のこの日は愛媛の夏を彩る様々な風物詩が繰り広げられてきた。
伝統的な祭りから季節の食文化、子どもたちの夏休みの思い出まで、時代を超えて愛媛の夏は受け継がれている。
