コロナ禍を機に、人々の働き方や学び方は大きく変化した。東京在住の20代の女性が九州・宮崎県の講師からオンラインで「動画編集」を学び、山梨県のカップルから初めての仕事を受注した。会社員として働きながら、副業として動画編集に取り組む「新しい働き方」を実践している女性を取材した。

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軽快なダンスに合わせて、「温泉」「スノボ」「ダンス」など、さわやかでカッコいい文字が浮かび上がっては輝き、躍動する。東京在住の動画編集者・村上優香さんが、自身の持つ編集スキルを紹介し、自らのプロモーションのために、自ら制作した動画の冒頭部分だ。

小学生の時にパワーポイントでアニメづくり

村上さんが動画編集に出会ったのは、小学生の頃。授業でパワーポイントを使ったときにアニメーションを付けた事だった。自分が描いたものが、命を得たように動くことが楽しく、熱中したという。その後YouTubeに出会い、本格的に取り組みたいと、動画編集スクールの門を叩いた。

 といっても、動画編集一本で簡単に生計を立てられるようになるわけではない。村上さんはIT関連企業で、会社員として働いている。村上さんの担当は営業で、業務として動画編集をしているわけではない。動画編集はあくまでも副業だ。社内には動画編集に詳しい人がたくさんいるが、副業の事を社内の人に聞くことはせず、独自に学んで受注につなげている。

初仕事は結婚式のオープニングビデオ

村上さんにとって初めての仕事となったのは、結婚式のオープニングビデオ制作。クラウドソーシングのサイトで、山梨県の新郎新婦から受注した。新郎新婦の希望は、2人が大好きなテレビ番組のイメージで作って欲しいとの事だった。

村上さんはその番組を詳しくは知らなかったため、有料配信サービスで実際の映像を見てイメージをつかみ、その世界観を再現した。完成までには20時間から30時間かかったが、完成品を見た新郎新婦からは「イメージ通りの動画だった」と感謝された。「お客様の“やりたい”を形にできた」と、喜びもひとしおだったという。

動画編集の需要はあらゆるところに

村上さんはその後、幼稚園の卒園式動画や、イベントのオープニング動画、タテ型リール動画やショート動画など、様々な仕事を請け負ってきた。動画が身近になり、世の中の動画編集需要は増えている事を実感させる。村上さんはまだまだ仕事の幅を広げ、クオリティを上げていきたいと、向上心にあふれている。現在はAfterEffectsを使ってカッコいい映像を作りたいと、研究を重ねているという。自己プロモーション動画でも、様々な効果・演出を試している。

「素直で努力家タイプ」な生徒

 オンライン編集スクールで指導にあたった木村圭吾さんは、村上さんについて、「素直で努力家タイプ」だったと話す。

オンライン編集スクール「TAPAS」木村圭吾代表:
初めて話した時は少し控えめな印象だったが、内に秘めた熱意と学ぶ姿勢がとても強い生徒だった。教材への質問だけでなく、テレビやドラマなどの映像表現を見て「こんな雰囲気を再現したい。どうすればいいですか?」など、具体的でこだわりのある相談を積極的にしてくれたのが印象的だった。

村上さんには動画編集についての特別な才能や経験があるわけではなく、ゼロからのスタートだったが、木村さんは「小さな仕事を一つ一つ丁寧にこなし、信頼を積み重ねていけるタイプ」と評し、自身のスクールのPRを仕事として依頼するほどの信頼を寄せている。

いつか海外に移住して動画編集の仕事をしたい

 村上さんは高校卒業後、台湾の大学に進学して、日本に戻ってきた。いずれは台湾から動画編集の仕事を受けられればと考えているという。将来の夢について聞くと、「いつかは海外に移住して、動画編集の仕事をしたい」と、大きな夢を語ってくれた。インターネットの発達で、住む場所や時間に縛られない働き方ができる今、それは決して、絵空事ではない。

 しかしまだまだ、村上さんの動画編集のキャリアは始まったばかり。当面は本業をしっかりやりながら副業の動画編集に取り組み、本業と副業で充分な収入を安定して得ていきたいと話す。

自由時間を割いての副業で大変ではないか、と聞くと、「動画編集は楽しいので、自由時間が編集時間になるのは苦ではない」と、迷いのない、まっすぐな答えが返ってきた。こういった情熱やこだわりが、作品のクオリティに表れていくのかもしれない。

(テレビ宮崎)

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