熊本市の新庁舎整備をめぐる話題。熊本市は、本庁舎と議会棟を同じ中央区の『ＮＴＴ桜町の敷地』に、現在本庁舎内にある中央区役所を『花畑町別館跡地』にそれぞれ移転建て替えとする計画です。
こうした市役所庁舎の建て替えによって生まれる跡地周辺などのまちづくりを考えるシンポジウムが１９日、開かれました。
【尾谷 いずみ キャスター】
「きょうのシンポジウム。当初予定した３００人の定員を大きく超える参加申し込みがあったということで、会場を広げて開催されることになりました」
熊本市が開催したシンポジウムには市内外から約４５０人が参加しました。
【参加者】
「市役所とかサクラマチとかをどう連携して活性化できるのかなという視点で参加した」
【参加者（大学生）】
「ちょうど跡地利用の研究をすることになっていて、その勉強も兼ねて今回来た」
ディスカッションでは、パネリストの一人、福岡市の高島 宗一郎 市長が市中心部の再開発『天神ビッグバン』の経緯を語りました。
【高島 宗一郎 福岡市長】
「建て替えが進んでいない、耐震強度が低い建物が多かった、これが福岡の課題１。一つのフロアの中に広い面積を福岡にはそういうビルが少なく、『ペンシル型』のビルが多いという課題があった。ニーズが増えているにもかかわらず、なぜ建て替えが起きないのか。航空法の高さ規制があって、これ以上高いのが建てられない。それを打破したのが『国家戦略特区』。アベノミクス第３の矢・成長戦略で国家戦略特区が出てきたとき、福岡市として航空法の高さ規制の緩和を提案し、これを勝ち取った。福岡の天神ビッグバンはこの航空法の高さ規制を緩和したことをトリガー（きっかけ）とし一気にこれまでのニーズが爆発して実際の建て替えにつながっていった」
続いて熊本市の大西 市長は「２０１６年の熊本地震がまちづくりを進めるきっかけになった」と述べました。
【大西 一史 熊本市長】
「〈災害が起こることを前提に街をつくらなきゃだめだ〉と明確に思った。市役所の移転建て替えもそうだが、最新の技術で拠点をつくって、どんな地震が来ても市民の生活をしっかり守れるような体制をつくって、行政の対応が継続できるようにすることが一番重要なポイント」
そして話は市街地の再開発をめぐる公有地の活用へと展開。
【高島 宗一郎 福岡市長】
「福岡市は市役所庁舎を建て替えたわけではないが、（天神）エリアの中にあった大名小学校が統廃合になった。このエリアが空いた」
高島 福岡市長は、当時市内になかった超一流ホテルの招致を考えていましたが、地元住民の要望は全く違うものだったと言います。
【高島 宗一郎 福岡市長】
「地域の人は公民館とか『老人憩いの家』が欲しい。一方で、五つ星のホテルも欲しい。跡地に対する希望が統一性なくあった。これをうまくできたのがデザインの力だった」
大名小学校跡地におととし完成した『福岡大名ガーデンシティ』は、ホテル『ザ・リッツ・カールトン福岡』のほか、公民館、老人憩いの家、店舗などを広場と組み合わせデザインされた大規模施設です。
【大西 一史 熊本市長】
「公有地が空く場面、活用する場面はそう出てはこない。そう考えると（今の熊本市は）１００年に１度の好機だと思っている。皆さんの要望をたくさん出してもらうこと。人口も減っていく中で、どうやって街の機能を豊かに良くしていくのか。これからの５０年、１００年に向けてどうしていくのか。いいポイントに立っているので、最大の未来への贈り物をつくっていくためにも皆さんとともに頑張っていきたい」
【参加者】
「福岡はあか抜けてるなと思った」
【参加者（大学院生）】
「福岡の事例がすごく分かりやすくて、自分も土木・まちづくりを学んでいるが、〈まちづくりって、こういうふうに進んでいるんだな〉というのを直接話を聞けたので、とても面白かった」
熊本市は今後も市民参加のイベントなどで、新たなまちづくりの機運を高めたいとしています。
終了後、大西市長は「できるだけ多くの意見を反映させるまちづくりをしなければいけない」と語りました。
庁舎建て替えをめぐり熊本市は今年度、基本計画を策定する予定です。
