東日本大震災による津波が原因で発生した、福島第一原発の事故を受け、2011年以降止まっていた原子力発電所の新設。
関西電力はきょう=22日 会見を行い、福井県の美浜原発の敷地内で原発の新設に向けた地質調査を行うと発表した。
関西電力・森望社長:当社は2011年3月12日以降、美浜発電所の後継機設置検討の自主的な現地調査を見合わせておりましたが、これを再開することといたしました。

■関西電力2010年から美浜原発敷地内で調査開始も原発事故で中断 3号機のみ稼働中
関西電力は2010年から翌年にかけて、美浜原発の敷地内で原発の新設に向けた地質調査を行っていたが、福島第一原発の事故を受けて中断。
その後、老朽化により美浜原発1号機と2号機の廃炉が決定し、現在は3号機のみが稼働している。

■調査は新設を「検討」のため 社長「進められることになっても安全最優先徹底」
22日の会見で関西電力の森社長は地質や地形の調査を再開すると発表。
地元の自治体に対して関西電力の担当者が説明を行った。
調査はあくまでも原発を新設するかどうかを「検討」するためのもので、地元の理解を得てから開始するということで、新設する場合は、現在の「軽水炉」に安全性向上のための知見を取り入れた「革新軽水炉」を念頭に進めたいとしている。
関西電力・森望社長:新しいものを造ることを、もし進められることになっても安全最優先の姿勢を徹底して参りたい。

■「使用済み核燃料」の処理は問題山積…根本的な打開策見えず
一方で、関西電力の原発に溜まり続ける「使用済み核燃料」については、再処理工場の完成延期や中間貯蔵施設の建設地すら決まっておらず、根本的な打開策がいまだ見えていない。
関西電力・森望社長:(原子燃料)サイクルの実現はしっかりと進めていかなければならない。

■新設の背景「ビッグデータ・AIで電力需要高まり…」専門家指摘 使用済み燃料処分が課題
原発の新設に向けた動きについて、大阪大学経済学部の安田洋祐教授は、背景に電力需要の高まりがあると指摘した。
大阪大学 安田洋祐教授:まず需要面でいうと、ビッグデータの活用であるとかAIの進展でこの電力需要っていうのが高まってきていると。
一方供給面に目を向けると、中東情勢等で見れば明らかなように、今まで化石燃料を中心とした原油だとか、天然ガスっていうのは不安定な供給が続いています。なので、以前と比べれば原発の重要性が高まっていると思います。
原発を稼働させていく以上は、新しくて安全性の高いものを使う方が、長期間使っていた過去のものよりも、安全度が高いっていう考え方もできるんで、そのあたりは(地元の)理解を深めていく上では重要なポイントなるんじゃないかと思います。
一方で使用済み核燃料の最終処分場も決まっていないという状況の中、原発の新設が理解を得られるのだろうか。
(関西テレビ「newsランナー」2025年7月22日放送)
