トカラ列島の群発地震は6月21日以降、収まる気配をみせないまま、まもなく1カ月を迎えようとしています。

トカラ列島近海で何が起きているのでしょうか。

周辺では大きな地殻変動が観測されていて、専門家は地下のマグマが地震に関連している可能性があると話します。

NPO法人環境防災総合政策研究機構・草野富二雄さん
「これまで周辺で何回も発生した。群発地震と比べて明らかに活動度が高い」

話を聞いたのは、災害の研究にあたっているNPO法人、環境防災総合政策研究機構の草野富二雄さんです。

草野さんは一連の群発地震について、周辺の地殻変動に着目しています。

NPO法人環境防災総合政策研究機構・草野富二雄さん
「7月2日の地震を境に小宝島と宝島が南北に離れる動きに変わってきた。これは大きな現象。地下で何が起きているか考える上で重要なデータ」

宝島と小宝島は6月21日の地震発生以降、同じ方向に動いていたことが分かっていますが、7月2日の小宝島で震度5弱の地震を境に、2つの島は逆方向に動き、島の距離が約10センチ離れました。

このような動きは過去に例がなく、草野さんは地下のマグマが島と島との間に入り込んで地震が起きているのではないかと推測します。

NPO法人環境防災総合政策研究機構・草野富二雄さん
「マグマなどの流体が小宝島と宝島の間に入り込んできていて地殻を押し広げている。そういったことが(群発地震に)関連していると十分に考えられる」

その上で、草野さんが引き合いに出した地震があります。

1989年、静岡県伊東市の沖合で発生した群発地震です。

NPO法人環境防災総合政策研究機構・草野富二雄さん
「1989年に静岡県の伊東市沖合で群発地震があった。地震が発生する場所がどんどん浅くなった。マグマが上がってきた。そういった中で海底噴火につながったことが過去にあった」

この時は、震源が徐々に浅くなり、海底噴火が発生しましたが、今回のトカラ列島の群発地震の場合、マグマが地下の浅いところまで上がってきている兆候は観測されていないということです。

その上で草野さんはトカラ列島近海はデータが乏しいことから、観測体制の強化が必要だと訴えます。

NPO法人環境防災総合政策研究機構・草野富二雄さん
「GPSを増強する、観測点を増やす。地震計も(新たに)島に設置するとともに、海底にも設置して密な観測網で観測する。そうすることによって地下がどうなっているのかより詳しくわかる。そういったことを国は検討してほしい」

鹿児島テレビ
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