ここからは連日お伝えしている参院選特集です。今回は最大の争点とも言われている物価高対策について、各党の主張や消費税の現状とともに考えます。
日に日に舌戦が熱を帯びる参議院議員選挙。
今回の争点は何と言っても「物価高対策」です。
与党は税収の上振れ分を財源とした国民1人あたり2万円、子供や所得の低い人にはさらに2万円追加する現金給付を掲げる一方、野党各党は消費税の廃止や減税を主張しています。
自民党・石破茂 総裁:
全くポイントも置かず、重点化もしないというのを「ばらまき」と言うのであって、消費税の減税がある意味で近いものだと私は思っている
立憲民主党・野田佳彦 代表:
いま食料品の値上げが非常にラッシュのように増えているわけですから、そこに光を当てる対策として臨時・時限的に消費税の食料品を0%にする
日本維新の会・吉村洋文 代表:
当面の策として食料品の消費税2年間ゼロ、ガソリンの暫定税率の廃止、これを掲げますが、本質は社会保険料です
公明党・斉藤鉄夫 代表:
社会保障と税の一体改革の理念からして、一時的な物価高対策に消費税税率を上げ下げを使うのは私は理念に劣るのではないか
国民民主党・玉木雄一郎 代表:
もともと払ってきた人に取るのをやめて懐に残したほうが、減税の方が効果的ではないかと国民民主党は主張していきたい
日本共産党・田村智子 代表:
逆進性の強い消費税を安定財源だと思考停止で社会保障財源だと強弁してきたことが、暮らしの困難、経済の停滞をもたらしてきたのではないのか
れいわ新選組・山本太郎 代表:
大胆な経済政策が求められる。そのためには徹底した需要の喚起・消費税の廃止、そしてそれが実現するまでのつなぎの給付金10万円が必要です
参政党・神谷宗幣 代表:
減税と積極財政をしっかりやって、移民や外国人に頼らない国家運営を参政党が中心にみなさんに提言していきたい
そこで道行く人に話を聞いてみると…
静岡市在住(80代):
どっちがいいとか悪いとか、はっきりわからない
静岡市在住(20代):
もし減税したとして他の社会保険料が上がってしまったり、いろいろ考え得る可能性があると思うと現金給付のほうが良いのでは
島田市在住(30代):
現金給付しても手数料がかかる。だったらその手数料がもったいない。(Q.消費税の減税は?)結局そのあと私たちが払う税金が違う意味で増えそう
ただ、多くの人が求めていたのが消費税の減税です。
静岡市在住(20代):
長期的に見た時に2万円給付はその時だけで終わるから、いま大変だけどそれは今後も続くので結局お金貰うだけでは変わらない
静岡市在住(20代):
現金給付だと貯金・貯蓄に回ってしまうので確かに貯蓄も大事ですが、いまある生活を助ける(現金給付は)一瞬のことになってしまう。この先を考えれば消費税減税の方がいいのかなと
函南町在住(60代):
長いスパンで考えると消費税減税のほうが私たちの利益になる
そもそもは公平性の確保や高齢化社会への対応などを主な目的として1989年に導入された消費税。
しかし、いわゆる社会保障費は増加の一途をたどり過去25年間で2倍に。
このため、消費税は国民の反発を受けながらも段階的に引き上げられ、当初は3%だった税率が今では食品と新聞を除いて10%。
2025年度の消費税収は予算ベースで24兆9000億円と見込まれています。
第一生命経済研究所によりますと、平均的な4人家族の世帯が1年間に負担する消費税は30万円弱と試算され、可処分所得に占める割合は4.7%。
ただ、年収の階層別にみると、中間層ほど可処分所得に対する負担率が上昇すると言われています。
では、消費税の税率を引き下げることでどのような効果が見込まれるのでしょうか?
静岡経済研究所・望月毅 企画部長:
消費が増えて、需要が増えて、製造業が潤う、小売業が潤う、あるいは浮いた分で旅行に出かけてサービス業がうるおうといった消費喚起、景気浮揚効果、このサイクルが(生まれる)可能性はあると思います
一方で現金給付の場合は…
静岡経済研究所・望月毅 企画部長:
現金給付は社会保障システムを崩さない。今の税金システムに手をつけずに短期的に景気浮揚、家庭に給付することによって消費喚起を起こすことができる
とはいえ、どちらの政策においてもデメリットが存在することを忘れてはならず、目先の損得ではなく長期的な国民生活の安心をもたらしてくれるか見極めて投票する必要があると指摘します。
ここからは各候補の消費税の減税に関する主張を見ていきます。
国民民主党・榛葉賀津也 候補(58)は賛成の立場から、国民が物価高で苦しむ中で国の税収は6年連続で過去最高を更新し続けているので、取り過ぎた税金を事務費をかけてバラまくのではなく最初から取らない減税をするべきと主張しています。
一方、無所属・村上猛 候補(74)は反対の立場で代わりの財源がないと話しています。
諸派・福原志瑠美 候補(42)は賛成の立場で、現金給付は根本的な解決になっておらず消費税があることで経済が滞ると訴えています。
参政党・松下友樹 候補(41)も賛成の立場で、消費税の廃止により救われる中小企業は数多く存在し、消費税が廃止され企業の利益が増えればそこから労働者の賃上げに繋がり消費行動につながっていくとしています。
共産党・鈴木千佳 候補(54)も賛成の立場で、消費税は低所得者ほど負担が重い国民いじめの税となっていると指摘した上で、まずは5%に減税し、将来的には消費税の廃止を目指すことを掲げています。
自民党・牧野京夫 候補(66)は反対の立場で、消費税は社会保障の安定財源であり、引き下げは国や地方の財政運営やサービス提供に支障が生じる恐れがあると主張しています。
諸派・山口香苗 候補(46)は賛成の立場で、現金給付は根本的な解決になっておらず、今の景気で消費税を実施する理由がないので撤廃すべきと訴えています。