細い紙を目に挟む女性。

この記事の画像(9枚)

行っているのは「涙で行う乳がん検査」です。

竹内俊文教授(69):
チップ1本だと5分くらいで結果が出ます。

神戸大学の竹内・俊文(たけうち・としふみ)教授。
誰でも気軽に検査ができるよう“涙”に着目しました。

竹内俊文教授(69):
血液とか尿とかですと、病院に行ったり、トイレに行ったりしないといけないんですけど、
涙液(るいえき)でしたらその場で採取できますので、非常に手軽にできる。

現代の乳がん検査の主流は「マンモグラフィー」と呼ばれる検査方法。
日本の40歳以上の受診率は約47%と、竹内教授が危惧しているのはこの低い受診率です。

竹内俊文教授(69):
今、9人に1人が乳がんに罹患します。
乳がんは早期発見で治る癌なんですけども、死亡率って上がっています。
なかなか検査が浸透してこないんです。

竹内教授は“治る病気で人が死ぬのは納得できない”と10年前に研究チームを発足。
少しの涙から乳がんが持つ物質の測定に成功しました。

竹内俊文教授(69):
涙って皆さんにとっつきやすい。
スーパーマーケットに行ったら(検査)できるとか、生活圏の中の検査法みたいなのが浸透していけばいいと思うし、ともかく(検査を)やってほしいんです。

その強い思いの背景にあるのは、妻の存在。
検査によって、乳がんの疑いを早期発見できた経験から、“もっと手軽に検査ができるように”と研究を続けてきました。

この1滴の涙を使って竹内教授が目指すことはなんですか?

竹内俊文教授(69):
癌だけじゃなくていろんな生活にまつわる病気とかも含め、血液に変わる体液として涙液で健康診断ができるような世界みたいなのが僕らの最終的な目標です。

乳がんで涙を流すその前に。
1滴の涙が命を救う世界を目指し、竹内教授の活動はあすも続きます。
(「イット!」5月29日放送より)