南アルプスの大自然や生活を伝えるミュージアムが静岡市の山間部にオープンしました。入館料は無料、希少な在来作物が味わえるレストランもありますが、人を呼び込む起爆剤となるでしょうか。
南アルプスの玄関口・井川地区。廃校になった小学校を改修して造られたのが「南アルプスユネスコエコパークミュージアムM:I」です。
Mは南アルプスや未来、Iは井川の頭文字からとりました。
教室は、ライチョウなど貴重な動物や高山植物について学べる場に生まれ変わり、井川の暮らしについての展示も。
パノラマシアターには南アルプスの山々が映し出され頂上まで登ることができなくても、貴重な大自然を体感することができます。
入場は無料、募金という形で協力を求めます。
そしてこのミュージアムには、特別な「食」が体験できるレストランがあります。
この日、提供されたのは「ジビエバーガープレート」と「M:I弁当」。
南アルプスユネスコエコパークミュージアムM:I・永松典子 館長:
南アルプスを駆け巡ったであろうシカやイノシシ。シカとイノシシをブレンドしてジビエバーガーを作っている。『井川在来』をメインにしたいので、ここでしか食べられないものをみなさんに食べてもらいたい
「在来作物」とは、品種改良されておらず、その地域のみ種子が受け継がれてきた野菜や雑穀のことです。
井川は約70種類もの在来作物がある、珍しい土地。ポテトに使われているジャガイモ「井川おらんど」は在来作物です。
「M:I弁当」には井川のアマゴや野草の天ぷらごはんには在来作物のキビが使われています。
市街地から離れていて、ある意味“閉ざされた場所”だったからこそ、井川には多くの在来作物が残りました。
収穫量は少なく、出回ることはほとんどありません。
女の子:
お肉の味がしっかりしていておいしい」
男性:
黄色いキビのツブツブが入ったご飯で、あっさりしておいしかった
女性:
(普通のポテトとは)全然違った。ガリッとしていて、甘みがあって
今後は井川茶のジェラートや在来種の雑穀パンサンドイッチなども提供される予定です。
ただ、多くの人に訪れてもらうには課題があります。
静岡市の市街地から井川へは車でのすれ違いが厳しい山道で約2時間かかります。
時間を短縮できるトンネル工事が行われていますが、開通は数年先。今後はミュージアムを拠点に有料の体験イベントを開催して集客を狙います。
遠くても来てみたいと思わせる場所にミュージアムになれるのか。さらなる発信力とアイデアに期待です。