宮崎と鹿児島の県境にある霧島連山・新燃岳の火山活動が続いている。6月22日の噴火から間もなく3週間となるが、火山活動はおさまっていない。7月3日から11日までの状況についてまとめた。
噴煙が上空5000mに到達(7月3日)

新燃岳では、7月3日午後1時49分の噴火で噴煙の高さが上空5000mに達した。6月22日に噴火が始まって以降、最も高くなった。火口から約12km離れた高原町役場の職員によると、噴火した時に「ゴー」という地響きのような音が聞こえたという。
火砕流か?噴煙が斜面を流れる現象(7月7日)

《7月7日午前9時ごろの新燃岳》

7日午前9時ごろの新燃岳の上空からの映像を見ると、河口から何かが流れ落ちているように見える。鹿児島地方気象台によると、6日午後1時37分ごろ、噴煙が南から南東側の斜面に沿って流れる現象が確認されたという。

火山に詳しい鹿児島大学の井村隆介准教授は、この現象を「火砕流だった」と指摘した。

鹿児島大学 井村隆介准教授:
熱量が足りないために上の方に上がらず、密度の濃い噴煙が斜面を流れ下って火砕流になっている状況。
一方、鹿児島地方気象台は、この現象について、「火砕流の判断基準である、甚大な被害を及ぼす、高速かつ高温の噴煙ではなかった」として、火砕流とは発表していない。

新燃岳の火口から3キロの範囲は、入山規制が行われているが、新燃岳の火口から約3.5キロ離れた韓国岳は規制範囲外にあたり、登山は可能となっている。宮崎県やえびの市は、韓国岳から新燃岳の様子を見学する登山客を確認している。しかし井村准教授は、新燃岳の活動状況から「警戒範囲の外であっても注意が必要」と話す。

鹿児島大学 井村隆介准教授:
新燃岳の下にはまだまだポテンシャルをもっているものがあるということを知らしめたと思う。立ち入り規制がされているところ、プラスアルファというところは、十分に気を付けていただきたい。
宮崎県やえびの市は、「今のところ規制の範囲を広げる予定はない」として、韓国岳を登山する際は、十分注意してほしいと呼びかけた。
連続噴火の停止発表、そして再び噴火(7月7日)

福岡管区気象台は、火山性微動の揺れが小さくなったことなどから、7日午後5時17分、「連続噴火が停止したもよう」と発表。しかし、新燃岳はその3時間後、午後8時30分に再び噴火した。
また、8日午前5時44分には、噴煙が火口から1600メートルの高さまで上がっていることを確認。
噴火は続いている(7月11日)
10日からは雲のため火口付近の状況は不明だが、航空機からの通報によると11日10時15分頃に噴煙を確認したとのことだ。このため気象台は、噴火が発生していたもようと発表している。
気象台は11日、新燃岳の活動状況について、次のように発表している。
・新燃岳火口直下を震源とする火山性地震は、2024年10月下旬から増減を繰り返している。
・火山性微動も時々発生している。
・新燃岳近傍の傾斜計では、噴煙量の増大に伴い、新燃岳付近の収縮を示すと考えられるわずかな変化が観測された。
・GNSS連続観測では、霧島山を挟む一部の基線で、2025年3月頃から、霧島山深部の膨張を示すと考えられるわずかな伸びが認められる。
気象台では、新燃岳の火山活動は活発な状態で経過しているとして、火口から概ね3kmの範囲では、大きな噴石などに警戒を呼びかけている。
(テレビ宮崎)