参議院選挙について詳しくお伝えしていく「もっと投票の前に」。
9日は、参院選の争点・論点として浮上している外国人政策についてお伝えします。
この「外国人政策」は党首討論などでもよく議題に挙がるものですが、例えば、日本に住んでいる一部の外国人による犯罪・迷惑行為などへの対応強化であったり、外国人の方が日本の自動車免許に切り替える試験が簡単すぎるのではないか?という問題など、ポイントがいくつかあります。
「イット!」ではこれまでに、これらの問題に関して取材を行いました。
2024年10月、「イット!」が取材した東京・府中市にある免許センターの様子です。
辺りはまだ真っ暗ですが、府中試験場の前には行列ができ、座っている人もいました。
この早朝に集まっている集団、実は、ほとんどが中国人です。
その目的は、外国の運転免許証を持つ方が日本で運転を許可された免許証に切り替える“外免切替”というものです。
これは学科試験の難易度が低いとされていて、日本の免許を取得すると世界100カ国以上の加盟国で運転できる国際免許の取得が可能になるため、外国人が殺到している現状があるんです。
その他にも、東京都内にあるマンションでは「家賃の値上げ」問題が起きています。
マンションの住民:
全ての部屋を、19万円に賃料を賃上げすると。元の値段の260%~320%ぐらいの値上げ。
通知書を見ると、旧賃料「月額7万2500円」から、新賃料「月額19万円」と、2.5倍に引き上げられているんです。
最終的には値上げは見送られたそうですが、登録住所の記載が「中国」とある会社にマンションの所有権が移り、そこから家賃を上げるなどして住民を退去させるケースもあるということなんです。
今回の当該のマンションの目的は分からないですが、建物を民泊として活用するケースでのトラブルも起きているそうです。
こういった外国人による“外免切替”や、日本でマンションのオーナーになって建物を民泊に使っていく“マンションの民泊化”の問題など、外国人への対応というのが議論されている現状があります。
この他にも、免税店での不正転売。
これも一部の外国人による問題というのもあり、改善すべきという指摘もあります。
そんな中、8日に石破首相が閣僚懇談会で、一部の外国人に対しての問題の対応や制度の見直しなどで、来週、新たに事務局組織を設置する方針だという表明がありました。
こういった流れも、やはり今回の参院選で外国人政策が1つの争点になっていることが背景にあるのでは、といえそうです。
この外国人政策について、各党の主張・政策、公約を見ていきたいと思います。
自民党はお伝えした通り、外免切替の手続きや不動産の所有に関しての整備を厳格化していくこと。
一方で立憲民主党は、外国人の一般労働者の雇用制度を整備していく。
公明党はインバウンドの地方への誘客と、外国人の人権保護・権利性の向上。
日本維新の会は、外国人政策を国家が一元管理すること。
共産党は、外国人労働者の権利の保障、難民申請者の生活保障の拡充。
国民民主党は、外国人の土地の所有・取得を法規制することと、インバウンドの免税見直し。
れいわ新選組は、外国から低賃金の労働力確保に反対、入管難民法の廃止。
参政党は「日本人ファースト」を掲げていて、「外国人総合政策庁」を新たに設置する。
社民党は、多文化共生の社会を目指す。
日本保守党は入管難民法の改正・厳格化と、経営・管理ビザの見直しという主張になっています。
これらに関しては、先ほどの外免切替もそうですし、外国人による医療保険料の未納が多額に上るなど、事実以上の過剰な指摘も多数出回っているというのが現状あるそうで、外国人の排除と受け取られるような、例えばSNS上でのデマもあるため、この辺りはファクトチェックが必要になってくるかと思います。
青井実キャスター:
住んでいる方もいるし働いている方もいるし観光に来る外国人の方もいるし、いろんな人への対応が必要だということもありますね。
宮司愛海キャスター:
私たちの身の回りの生活を考えても、コンビニなどで働いている外国人の方もいるし、さっき木村さんからもあったように、とにかくファクトに基づいて、イメージだけで語ることがないようにしていかないといけないなと思いますね。
SPキャスター パトリック・ハーラン氏:
基本的に日本は性善説で動くことが多いですけど、国民問わず、みんなズルできないように制度を強化することは僕、賛成なんですね。しかし、規模感が大事です。実際にどれくらい、例えば外国人の免許保有者が交通事故を起こしているのかとか、そのファクトをちゃんと持って、過剰反応せずに制度設計を考えたほうがいいかなと思います。
演説の動画などを見る機会もあると思いますが、その主張のバックグラウンドにどんな事実があるのか、ということが大切です。
今回、参院選でそもそも外国人政策がこれだけ大きな争点になっているのはどうしてなのか、フジテレビ政治部の西垣壮一郎デスクに聞きました。
西垣デスクによると、少子高齢化で働き手が不足している中、外国人労働者を求める声が高まってきて受け入れも拡大していると。
ただ、働き手としての受け入れには共生を進めていこうというような考え方もありますし、規制をもっと強化していこうというような、治安の部分など、不安もあると。
賃上げが抑えられてしまうという懸念から、規制強化を訴える党もあるということで、今、分かれているということでした。