夏の高校野球長崎大会が始まった。開会式で選手宣誓をした佐世保南高校の主将・丸田選手は「どうしてもしたかった」という願いが叶った。そこには野球を愛するからこその熱い「感謝の気持ち」があった。佐世保南は7年ぶりの初戦突破を目指している。
野球ができる環境は当たり前じゃない
チームのモットーは「全力」。部員数25人の佐世保南高校野球部だ。

2018年以来7年ぶりの初戦突破をめざし、練習に余念がない。

丸田主将が「選手宣誓」を引き当てた。中島詠太監督は「選手宣誓のくじを引く前から“”絶対に自分がしたい”と言っていた」と語る。
佐世保南の丸田昴輝主将は「“よっしゃー!”と思った。自分は長崎県佐世保市出身。佐世保空襲や原爆の話を聞いて、野球がやれる今の環境は当り前じゃないと思った」と話す。「そこの話は選手宣誓に入れたい。どういう状況でも野球がやれるありがたみを感じないといけないなと思い、いつもプレーしている」と続けた。
小学1年生から野球をはじめ、今ではチームの主将、そして生徒会長を務めている。選手宣誓に込めるのは大好きな野球への「感謝」の気持ちだ。
「今ここに立てていることに感謝」選手宣誓
7月7日、県大会が開幕した。入場行進の後、佐世保南の丸田昴輝主将による「選手宣誓」が行われた。

宣誓。高校野球には夢があり、白球をひたすらに追いかけ続け、自分を信じ、仲間を信じて、努力し続けてきた者がたどり着ける聖地への切符を手にするために、今私たちはここに立っています。80年前の8月9日。ここ長崎で、前日まで共に過ごしてきた仲間が突然失われ、汗を流してきたグラウンドさえも姿を消しました。そんなあの日から80年経った今日、このグラウンドに立てていることは当たり前ではありません。だからこそ私たちは今この場所に立てていること、そしてこの仲間と野球ができることに感謝しています。私たちは野球を愛しています。100年先も高校野球が愛されるように、高校球児がこれからも青春を注ぎ込めるように全力を尽くし、最後まで笑顔で戦えることを誓います。
「承認のかけ声」で高まるチームワーク
佐世保南が練習で常に取り組んでいるのが「承認のかけ声」だ。仲間がいいプレーをした時に大きな声で賞賛する。練習中の雰囲気を明るくするために始めた。

チームメイトの動きをよく観察することで、自分の気持ちも引き締まる。

丸田主将はピッチャーだ。2024年秋、投手の層を厚くするためキャッチャーからコンバートされた。丸田主将は「制球力、マウンドで動じない心構え、フィールディング。野手上がりなのでそういうところで勝負したい」と意気込む。

同じくピッチャーの富岡桃崇選手は、コーナーを突く制球力で打たせて取るピッチングが持ち味だ。富岡投手は「内角低めの変化球や真っ直ぐを投げ分けできれば抑えられる。バックにはいい守備で何度も助けてもらった。信頼して、バックを信じて投げられる」と話す。

守備の要、キャッチャーの池田賢世選手は直近の公式戦で打撃も好調だ。池田捕手は「夏のキャッチャーは暑さが厳しい。1年生の冬から培った体力で夏バテしないよう、熱中症に気を付けてやっていきたい」と語る。
豆腐が支える猛暑の練習と熱い友情
きつい練習の中で選手たちがホッとできるのはマネージャーが用意してくれる「補食」だ。

取り入れている食材が「豆腐」。食べやすくタンパク質が摂れ、塩分補給にもなり、何より経済的だ。
「うまい!うますぎる。豆腐がつるつるしてて醤油とかつお節との相性がマッチしておいしい」と、上手に食リポして見せてくれた選手がいた。萬屋佑隆内野手はチームのムードメーカーだ。

走攻守、三拍子揃いショートを守る。「ピッチャーが打ち取った打球を確実にアウトにする。そこはしっかりピッチャーを助けるプレーを意識している」と語る。

選手たちをいつも支えているのは野球が大好きな3人のマネージャーだ。福田心咲さん、徳永真菜さん、渡辺玲菜さんは「私たちから勇気を与えられるような行動をして日々頑張ってます」と意気込み、「みんなが一試合でも多く試合ができるように、最後までサポートしっかり頑張ります。佐南野球部、だいすき~」とエールを送る。
中島監督は「冬の間にたくさんノックを打って基本からみっちりやったことで力を着けることができた。試合で自分たちの力を発揮できると信じて見ている」と語る。

選手宣誓はもちろん、全力プレーで互いの良さを引き出す佐世保南、初戦は大会3日目、長崎南と対戦する。
(テレビ長崎)