閉鎖されそうだった縫製工場を引き継ぎ、オリジナルブランドを立ち上げた夫婦が秋田県大館市にいます。秋田のアパレルブランドを全国へ広めようと二人三脚で奮闘しています。

大館市山館の衣料品製造会社「SH.K.PRODUCT」です。この会社を経営する加藤義明さん(45)は大仙市出身。高校まで地元で過ごし、ジュエリーの専門学校に進学するため上京。2016年までシルバーアクセサリーの会社で営業の仕事をしていました。

将来は秋田に戻り地域のために働きたいと考えていた時、転機が訪れます。

SH.K.PRODUCT・加藤義明さん:
「大館で妻の親戚が縫製工場をやっていたが、もう工場を畳みたいと従業員を引き取ってくれる人を探しているという話を聞き、興味を持って大館に来た」

当時、大館市比内町扇田にあった工場を訪れると、そこで職人の縫製技術の高さを目の当たりにします。優れた技を途切れさせてはならないと、加藤さんは工場を引き継ぐことを決めました。

工場を現在の場所に移し、現在15人を雇用しています。このうちの半数は、前の工場から引き続き働く職人たちです。

丁寧な仕事が評判を呼び、会社が軌道に乗ってきた矢先、新型コロナウイルス感染症が世界的に流行。経営が厳しくなる中で、加藤さんは新たな取り組みを始めます。

SH.K.PRODUCT・加藤義明さん:
「コロナ禍で工場の売り上げが大幅に落ちた。その際に下請けでやっている限界を感じ、他人のどんぶりでご飯を食べるよりも、地に足つけてやっていかないと駄目だと思ったのがきっかけ」

そこで生まれたのが、ワンピース専門のオリジナルアパレルブランド「aiile(エイル)」です。

デザイナーを務める妻の祥子さん(35)は埼玉県出身ですが、父親は大館市の出身です。祥子さんは服飾の専門学校を卒業後、スタイリストとしてアイドルグループ・AKB48を担当していました。

ワンピース専門にしたのは祥子さんのアイデアからでした。

aiile・加藤祥子さん:
「私もそうですが、周りの人たちみんな忙しいので、とにかく楽にちゃんとして見える服を意識してデザインしています」

aiileのワンピースは楽に着られるデザインだけでなく、生地に速乾性のあるものや冷感素材も使用するなど、機能性も重視しています。

SNSで話題となり、いまでは東京や大阪などでポップアップショップを開くほどの人気となっています。

祥子さんは、さらに女性に寄り添っていきたいと意気込みます。

aiile・加藤祥子さん:
「体型の変化や年齢によって昔着ていた服が着られなくなる悩みがあって、それは私だけでなく、いま買ってくれているお客さまも同じ悩みを持っている人が多く、それを追求してデザインにも反映させていって、より多くのお客さまに知ってもらえたらいいなと思う」

大館で夫婦で営む衣料品製造会社。「秋田のアパレルブランド」として知名度を上げ、加藤さんは自身の経験を生かして新たな夢を実現させたいと話します。

SH.K.PRODUCT・加藤義明さん:
「これからaiileが大きくなっていくにつれて、合わせられるようなジュエリーを展開していければ、すごく楽しいブランドになるのではないかと思う」

加藤さん夫妻は夢の実現に向けて、これからも二人三脚で歩み続けます。

秋田テレビ
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