46年ぶりの甲子園を目指す久慈高校野球部は、打撃と守備のバランスに加え、中学時代からの絆で結ばれた強固なチームワークが特徴だ。3年生15人が中学時代「久慈DREAMS」で全国準優勝の実績を持つメンバーで、互いの強みと弱みを理解し合い、的確なアドバイスができる関係性が強さの源となっている。東北大会ベスト8の実力と地元の誇りを胸に夏の頂点を目指している。
攻守のバランスが光る
久慈高校硬式野球部は、2024年秋の県大会3位、2025年春の県大会準優勝と着実に実績を積み上げてきた。春の東北大会では山形第2代表の山形中央を破りベスト8に進出し勢いに乗る。

宇部智也主将(3年)は「長打のあるバッターもそろっているし、打撃面は本当に文句なしだと思う。守備も崩れることがないし、どちらもバランスがいい」と現在のチーム状況を語る。
打線の中心を担うのは和野虎牙選手(3年)だ。1年生から不動の4番を務め、高校通算11本のホームランを放っている。春の東北大会2回戦の聖光学院戦では、豪快なスイングで2打点を挙げる活躍を見せた。

「最後の夏というのは、今までの夏とかける思いが違う。目標は甲子園出場、個人としてはホームラン3本くらい打ちたい」と和野選手は意気込む。
左右のエースが牽引
投手陣をけん引するのが左右のエース、宇部奨人投手(3年)と山田千叶良投手(3年)だ。

左のエース・宇部奨人投手は制球力が持ち味で、インコースを攻めて相手バッターを詰まらせるピッチングを得意とする。
一方、右のエース・山田千叶良投手は低めのストライクゾーンに集めて凡打を誘う。
2人とも130キロ台中盤のストレートに加え、スライダーやチェンジアップなど3種類の変化球を操る。時には完投、時には継投で強豪校と渡り合ってきた。

「ストレートも変化球もどちらもインコースで勝負できるよう調整したい。(県大会)決勝で勝って、甲子園に行けるよう頑張りたい」と宇部奨人投手は意欲を見せる。

山田千叶良投手も「低めに集めることを常に意識しながら、チームの軸となれるような投手になっていきたい」と決意を語る。
中学からの絆が強み
久慈高校の強さの秘密は、抜群のチームワークにある。
実は3年生には中学時代に「久慈DREAMS」というチームに所属し、全国大会準優勝を経験したメンバーが15人いる。

地元の高校で甲子園を目指すため、誘い合って入学したという彼らは、互いの特性を熟知している。そのため実戦でも練習でも、状況に応じた的確なアドバイスを交換できる関係性が強みになっている。

「中学校から顔見知りというのもある。あとは先輩の自分たちが優しいから」と和野虎牙選手は笑顔で語る。
宇部奨人投手も「みんながいるので頑張れる。特に(山田)千叶良くんがいるので」と仲間の存在が支えになっていることを明かす。

つらいランニングメニューも、仲間と声をかけ合いながら明るく取り組むことで、身になる楽しい練習に変わっている。
悔しさをバネに成長
2025年1月、春のセンバツ甲子園21世紀枠候補の選考委員会で候補に名を連ねながらも選出されなかった久慈高校。

宇部智也主将は当時、「少し悔しい思いもあるけど、春から自分たちの実力で勝てるよう、まだ夏のチャンスは残っているので、体づくりからチーム全員で見直してやっていきたい」と語った。

この言葉通り、夏に向けてウェイトトレーニングなど体づくりにより本格的に取り組み、パワーもスピードも飛躍的に伸ばすことができたという。
「久慈高校に入った理由の一つが"甲子園に行きたい"ということ。地域の皆さんに応援してもらっているので、保護者にもしっかり甲子園で恩返しできるようにしていきたい。目標は甲子園優勝です」と宇部智也主将は力強く語る。

着実に力をつけた久慈高校は、県内の公立高校としては31年ぶりとなる夏の甲子園出場、そして46年ぶり2度目の甲子園を目指し、7月9日に開幕する岩手県大会に臨む。
(岩手めんこいテレビ)