先月、20代の女性が集団で性的暴行を加えられた事件。
逮捕された男らは、SNSでやり取りをしていて、面識もお互いになかったとみられている。
SNSでは捜査の目をかいくぐるため、隠語を使ってやり取りをしている例もあるという中で、橋下徹氏は現状を”犯罪募集天国”と表現し、「おとり捜査」に期待すると述べた。

■女性の口を背後からふさぎ「静かにしろ、殺されたいんか」
6月30日、身柄を検察に送られたのは、不同意性交等致傷の疑いなどで逮捕された無職の44歳の男と、会社員の32歳の男。
2人は6月中旬、大阪府内の集合住宅で、20代の女性に、刃物のようなものを突きつけて性的暴行を加え、けがをさせた疑いなどが持たれている。
警察によると、2人は部屋に入ろうとしている女性の口を背後からふさぎ、「静かにしろ、殺されたいんか」と脅し、そのまま女性を部屋に押し込んだということだ。
さらに、その後帰宅した住民の男性(20代)に対し、「大きい声を出すな、服を脱げ」と裸にさせ、手首や足首をしばって拘束したという。

■互いをニックネームで呼ぶ 直接の面識はなかったという容疑者ら
卑劣な行為に及んだ疑いが持たれる2人。2人はSNSで連絡を取り合っていたとみられている。
2人は互いをニックネームで呼び合っていたということだが、直接の面識はなかったという。
SNS上のみでつながり、ともに性的暴行に及んだのか。
ネットに詳しいジャーナリストの渋井哲也さん(55)は、今回の事件について「驚いた」としつつ、最近のSNSと性犯罪の結びつきについて次のように明かした。
渋井哲也さん:思いついたら誰でも募集ができますからSNSは自分が見たい世界と他人が見たい世界は別の世界なので、例えば僕がそういう性犯罪の世界を見たいと思えば、そういうタイムラインばかりになる。

■今も逃走しているグループの1人が女性「物色」か
今回の事件では、面識のない容疑者たちが、協力しあって女性に乱暴した可能性もある。
まず、今も逃走しているグループの1人とみられる人物は、住民のあとをつけてオートロックを突破。事前に対象となる女性を「物色」するなどした疑いがある。
渋井さんは、面識がなくても、グループで連携がはかられることは十分ありうると話す。
渋井哲也さん:例えば最初はLINEに集めて、ラインからテレグラム(秘匿性の高いアプリ)に行きましょうってこともできます。黙って強固なグループを作りやすくなっている。自分自身の性欲を満たすというものもあるかもしれないけどもそれよりはゲーム性が高いんじゃないかな。

■「強姦をしてみたいという欲があった」
逮捕された会社員の32歳の男は、警察の調べに対し、「一度、強姦をしてみたいという欲があった」などと、もう1人の容疑者とともに容疑を認めているということだ。
警察は実態の解明を進めている。

■「犯罪目的持つ人間が簡単に結びつく“手軽さ”が一番怖い」と安藤氏
これまで強盗や特殊詐欺などで、SNSを通じてグループを作るケースが知られていたが、今回の事件では性的暴行目的でグループが作られていたとみられている。
ジャーナリストの安藤優子さんは、「犯罪目的持つ人間が簡単に結びつく“手軽さ”が一番怖い」という。
安藤優子さん:同じような犯罪行為の目的を持つ人間が、すごく簡単に結びつきを得て協力し合うことができる“手軽さ”が、私は一番怖いです。そういう手軽さが犯罪行為の重大さを薄めているんですよ。
安藤優子さん:簡単にできるから、『そこまでの犯罪じゃない』というような、専門家の話で『ゲーム性』という話もありましたが、自分たちがやってる本当に人の人生をめちゃめちゃにする行為が、そこまでの犯罪だという認識に至っていない可能性があると思います。

■捜査逃れのため隠語使用か
面識がない人物がSNSでつながったということだが、SNS上では隠語が使われている。
ネットジャーナリストの渋井哲也氏によると、性犯罪に関連する隠語として次のようなものがある。
・「鳥」盗撮をすることを意味している
・「鳥師」盗撮をする人
・「妄想」痴漢
この他にも多数存在しているということだ。
捜査の網の目をかいくぐるために、このようなやり取りが行われているとみられている。

■「“犯罪募集天国”になっている。捜査員の皆さんに頑張っていただきたい」と橋下氏
弁護士で大阪府知事などを務めた経験がある橋下徹さんは、現状は「犯罪募集天国」になっているといい、いわゆる“おとり捜査”による抑止力について言及した。
橋下徹さん:犯罪を行おうとする仲間を、日本のSNSでは簡単に募集ができてしまいます。欧米なんかだと、おとり捜査で捜査員が入ってきて、犯罪的なことを募集しても、そこに捜査員が入ってくるかもわからないので、抑止力になっているんです。
橋下徹さん:いわゆる『トクリュウ』という強盗関係を中心に、いま『仮想身分捜査』といって、いわゆるおとり捜査的な捜査がこれから始まってきています。この犯罪で身分証明書を、仲間同士で出すのかどうか分かりませんが、とにかく犯罪の募集をすれば、そこに捜査員が入ってくるということを、強力に圧力として利用しないと。
橋下徹さん:いま“犯罪募集天国”になっていますから。ぜひこれは捜査員の皆さんに頑張っていただきたいと思います。

安藤優子さん:隠語がある意味共通語として、お互いの認識の中で分かっているわけじゃないですか。ある意味変な言葉を使えば、そういうプラットフォームを使っている人間、こういう隠語を共通語として使う人たちが増えているということじゃないですか。抑止することは本当に待ったなしだと思います。
SNSの闇の部分、犯罪利用をどう防いでいくのかが大きな課題だ。

(関西テレビ「newsランナー」 2025年7月2日放送)