公示まであと2日となった参議院選挙。
1日は、注目される新しい政党「新興政党」に関する動きを見ていきます。
今回の参議院選挙では様々な政党があるわけですが、「国政政党」というのは「政党要件」という条件が2つあります。
1つは「所属している国会議員が5人以上であること」、もう1つが「直近の国政選挙で得票率が2%以上」。
2つ満たしているところが8つあり、これが国政政党。1つ満たしているのが社民党と日本保守党となります。
それ以外の、いわゆる諸派と呼ばれるのは、石丸伸二氏の「再生の道」や安野貴博氏の「チームみらい」が当てはまります。
こうした中、先日の東京都議会選挙では、再生の道や参政党が非常に注目されました。
特に参政党は国会議員が新たに1人入党し、国会議員が5人になったため政党要件を全て満たしたということで勢いをつけてきています。
実はこうした“新しい勢力”が参議院選挙という場において最大のチャンスともいえるそうです。
詳しく見ていきます。
6月29日、民間の政策提言組織が行った主要政党の党首との意見交換会。
ここには6党の党首が出席しましたが、意見交換の場にはいなかった新興政党や少数政党の動きが、ここにきて活発になっています。
参政党・神谷宗幣代表:
地上波の討論会が加わる。ネットを見ない世代もいらっしゃるので、そういった方々に参政党の政策や存在を知っていただく。
参政党は6月30日、維新を離党した議員を擁立して党首の討論会に出席する条件を満たしました。
さらに社民党と日本保守党はそれぞれ浮動票の獲得を狙い、著名人候補の擁立を発表。
そして、国会に議席のない勢力では、エンジニアの安野貴博氏が党首を務める「チームみらい」が30日、公約を発表しました。
チームみらい・安野貴博氏:
テクノロジーで誰も取り残さない日本。未来は明るいと信じられる国をつくるべく活動。
再生の道の党首・石丸伸二代表は7月1日、公約を発表。
再生の道・石丸伸二代表:
教育への投資を優先し持続可能な社会を構築する。人口減少社会をどう乗り越えるのか、それは一人一人の能力を高めるほかない。
実はこうした国会に議席を持たない新興政党、いわゆる“ミニ政党”にとって、参議院選挙は国政に足場を築く格好の場になってきました。
全国で約2%の得票があれば議席を獲得できる比例区があるためです。
この比例区が初めて採用された1983年の選挙では、多くの“ミニ政党”が乱立する中、サラリーマン新党と福祉党が議席を獲得。
その後も、アントニオ猪木氏を党首に、「消費税に延髄切り 国会に卍固め」を掲げたスポーツ平和党が議席を獲得しました。
そして、ついに首相を輩出する政党も。
1992年には細川護熙氏が結党した日本新党が4議席を獲得。
今の東京都知事・小池百合子氏も政界デビュー。
この選挙をきっかけに日本新党は翌年の衆院選で大きく躍進し、細川政権が誕生しました。
そして、第2次ブームが起きたのが令和に入ってからです。
2019年の選挙でれいわ新選組とNHK党が議席を獲得。
前回、2022年の参院選では、参政党が議席を得て、6月の東京都議選では3議席と躍進を遂げました。
これを受けて、石破首相は「新しい政党が支持を集めているのはなぜかを党として分析し、全身全霊、この選挙を戦ってまいります」と述べ、参政党など新興政党への警戒感を示しました。
参政党・神谷宗幣代表(6月21日):
問題が起きているのに人権侵害だ、差別だって言ってたら、日本人はずっと我慢してないといけないんですか!?
参政党は「日本人ファースト」を掲げ、本来、自民党を支持していた保守層のうち、石破政権に不満な層の受け皿になり躍進につながっているとみられています。
一方で、ネット上では参政党が掲げている憲法改正案に疑問を抱く声も。
「天皇は神聖な存在として侵してはならない」などの文言に“戦前のようだ”などの批判も出ています。
今回の参院選では新興政党が躍進するのか、既成の政党が底力を見せるのか。
公示まであと2日です。
こうした新興勢力がどうやって票を稼いでいくかを見ていきます。
一般的には、“特に支持する政党が特にこれまでありませんでした”というような「浮動票」が頼りですが、一方で「組織票」というのもあります。
参議院選挙の比例代表では、候補者個人の名前も書くことができます。
そのため、参院選ならではの“組織票の強さ”があります。
3年前の参院選の比例代表で当選した各党の上位候補を見ていきます。
まず自民党ですが、得票が一番多かったのは漫画家の赤松健さん、さらに下を見ていくと全国郵便局長会や建設、医師、農業、看護など、いわゆる自民党を支持している業界団体。
支持を受けるというより、その身内の候補が当選していることがあります。
青井実キャスター:
選挙と支援団体というと、企業・団体献金など政治の公平性が損なわれるのではないかというのがあり、その在り方について今議論されているわけじゃないですか。
宮司愛海キャスター:
確かに組織の後押しを受けて当選して、その組織のために動くのももちろんいいことだと思いますけど、それ以外の市民の、一般の人たちの利益が損なわれないのかなと、ある種懸念点もあるわけで、いいところも良くないところもあるというところなんでしょうかね。
両面あるというところは理解したうえでですが、組織票というのは与党だけでなく野党ももちろんあるわけです。
立憲民主党を見ていくと、得票が一番多かったのは辻元清美さんです。
辻元さんは知名度と大阪での確固たる地盤もあるということですが、それ以外を見ていくと、自治労、日教組、JP労組などが多くなっています。
国民民主党は電力、自動車など様々な民間企業系の労働組合が上位を占めている状況になっています。
他の党を見ていくと、組合系だけではなく、例えば公明党だと宗教団体「創価学会」の強固な地盤もありますし、共産党も全国の共産党員の組織の強さもあります。
日本維新の会でいうと、組織票というよりは大阪府の地盤の強さ、地域政党の意味合いが強いです。
れいわ新選組もインターネットを中心に新たな形となっています。
そんな中、出てきたのが参政党です。
どういう枠組みなのかというと、地方組織の強さもあり、インターネットでの人気もあり、保守版の“草の根政党”というような例えがされるそうです。
青井実キャスター:
今回、都議選を見ても自民党と公明党、共産党が苦戦しているという現状もありましたし、人口動態を見ても組織票の動きというのが、変化が出てきているのかもしれないですね。
宮司愛海キャスター:
組織票に属さない人たちが投票に行かないと、やはり組織の政治になってしまう恐れもあるので、やっぱりちゃんと投票には当たり前ですけど行きましょうというのが改めて分かりました。
青井実キャスター:
浮動票とか無党派層の票をいかに各党が取り込めるかに躍起になっているところですが、有権者としては公約をしっかり見る。そして、政党の在り方も含めて細かく見ていくことが大切かもしれません。