TSKさんいん中央テレビとJALのコラボ企画です。
今回は、客室乗務員でJALふるさと応援隊の山崎美来さんが、島根県西部の美郷町にある、誕生から100年以上経つ和菓子の老舗で、地域の人たちにも親しまれてきた素朴な味を受け継ぐ仲良し姉妹を取材しました。
中国地方最大の川「江の川」のほとりにある美郷町浜原地区。
JALふるさと応援隊・山崎美来さん:
「趣のあるレトロな建物ですね。すごく歴史を感じます」
かつての石見銀山街道沿いに店を構える「富士屋本舗」。
123年の歴史を持つ和菓子の老舗です。
JALふるさと応援隊・山崎美来さん:
「こちらのお店は?」
富士屋本舗・菅多優美子さん:
「羊かんを作っております」
JALふるさと応援隊・山崎美来さん:
「たくさん種類がありますね」
富士屋本舗・菅多優美子さん:
「そうなんです。全部で7種類作っております」
店を切り盛りする菅多優美子さん(77)と、2つ下の妹、畠山律子さん(75)です。
えごま、小豆、桜…店先には、味もサイズも様々な羊かんが並びます。
なかでも人気なのが、香り高い柚子をたっぷり使った「柚子羊羹」です。
富士屋本舗・菅多優美子さん:
「これが昭和7年の全国菓子博覧会の時の記録なんですけど、ちょうど祖父が初めて出品して名誉優良賞というのをいただいたんですよ」
JALふるさと応援隊・山崎美来さん:
「ここに確かに柚子羊羹と書いてありますね」
富士屋本舗・菅多優美子さん:
「そうなんです。柚子羊羹では日本一なんですよ」
「柚子羊羹」をつくり始めたのは店の初代、祖父の藤吉さん。
1932年に開かれた国内最大の菓子の品評会「全国菓子大博覧会」で名誉優良賞、日本一に選ばれました。
富士屋本舗・畠山律子さん:
「うちの柚子羊羹、食べてみてください」
JALふるさと応援隊・山崎美来さん:
「いただきます」
「おいしいです。柚子のさわやかな香りを感じられて、ちょうどいい甘さでたくさん食べたくなってしまうおいしさです」
富士屋本舗・畠山律子さん:
「えごま羊かんも食べてみてください」
JALふるさと応援隊・山崎美来さん:
「えごまのプチプチした食感がすごく楽しいですね。小豆の優しい甘さと相まってすごくおいしいです」
やさしい味わいで100年を超え愛されてきた富士屋本舗の羊かん。
どのように生まれるのか、工場を見せていただきました。
JALふるさと応援隊・山崎美来さん:
「今からどのような作業をされるんですか?」
富士屋本舗・畠山律子さん:
「これから寒天とお水を窯にいれます」
始まったのは、寒天を溶かす作業。
羊かんの舌触りにも関わる重要な工程です。
窯に火をつけて約10分、ぐつぐつと煮立つ鍋を焦がさないよう木べらでかき混ぜます。
JALふるさと応援隊・山崎美来さん:
「全部手作業なんですね」
富士屋本舗・畠山律子さん:
「そうなんです。大変なんです」
JALふるさと応援隊・山崎美来さん:
「やっぱりおじいさまから受け継がれた方法で」
富士屋本舗・畠山律子さん:
「そうなんです。伝統の味を守ってきてるんです」
富士屋本舗では1日80本近い羊かんを作りますが、その工程のほとんどが手作業。
専門業者から仕入れるのが一般的な「あん」も手作りしているため、羊かんができあがるまでには、3日ほどかかるといいます。
材料も、地元でとれるものを積極的に使用。
防腐剤や甘味料などを使わず、天然の素材だけで作るからこそ出せる自然な甘さにこだわります。
JALふるさと応援隊・山崎美来さん:
「創業100年以上とのことですが、困難なことなどありましたか?」
富士屋本舗・菅多優美子さん:
「100年に一度といわれる大水害が昭和47年にありました。泥水の跡があそこに見えますよね。あそこまできたんですよ」
築100年を超える店には、その水害の痕が今も残っていました。
先代の父、準吉さんの時代、集中豪雨で近くを流れる江の川が氾濫、この店も大きな被害を受けました。
富士屋本舗・菅多優美子さん 畠山律子さん:
「何もかも流されて、柱だけが見える状態でした。だから復活するのは難しいなとおもいましたね」
しかし、地域の人の後押しもあり、廃業の危機を脱出、店の再開にこぎつけたといいます。
JALふるさと応援隊・山崎美来さん:
「どういう経緯で二人がお店を継ぐことになったんですか?」
富士屋本舗・菅多優美子さん:
「(11年前)父が88歳で亡くなったんですけど、このまま途絶えさせるのは惜しいなと思って」
『100年以上守られてきた味を受け継ぎたい』と優美子さんが決意。
大阪に嫁いでいた妹の律子さんも、夫が他界したのをきっかけにふるさとに戻ることを決め、10年前、姉妹で「富士屋本舗」の看板を継ぎました。
富士屋本舗・菅多優美子さん 畠山律子さん:
「喧嘩しながら時にはやっております。意見の食い違いがありますので、徹底的に口論して」
一体どうすれば祖父の味を守れるのか…。
そんな時見つけたのが、亡き父が書き留めたたくさんのレシピメモ。
大切な味を再現することができました。
富士屋本舗・菅多優美子さん 畠山律子さん:
「そのなかから参考にしながらこういうのを見て研究したんですけど。分からないところは、母に聞いて作っていました」
JALふるさと応援隊・山崎美来さん:
「なにか今後の夢とかはあるのでしょうか」
富士屋本舗・菅多優美子さん:
「まだまだ食べていただいてない方がたくさんいらっしゃいますので、一人でも多くの方に食べていただいて、ファンになっていただきたいと思います」
富士屋本舗・畠山律子さん:
「大きな夢なんですけども、地元の島根県の出雲空港から海外へ羊かんを出せたらと願っています」
失われかけた老舗の味を守った優美子さんと律子さん。
おいしい羊かんをもっと多くの人に。
仲良し姉妹の情熱が冷めることはなさそうです。
平川アナウンサー:
「地域に支えられ、愛されてきた羊かんなんですね」
JALふるさと応援隊・山崎美来さん:
「羊かんに使われるユズも、日本一になった羊かんのためにと、新たに栽培を始めた農家もいらしたそうです。
平川アナウンサー:
「店を継いだお2人も元気そうでした」
JALふるさと応援隊・山崎美来さん:
「実は妹の律子さんは、50年ほど前、日本航空の前身のひとつ、東亜国内航空の客室乗務員を務められたそうです。羊かんを通じて不思議なご縁をいただきました。
※山崎さんのさきは「たつさき」