新たな風力発電施設の設置を規制する条例案が、6月に開かれた島根県吉賀町議会で可決されました。
中国地方の自治体では初めての条例で、7月1日から施行されます。
吉賀町の「風力発電事業と地域との調和に関する条例」は、6月20日の6月定例議会最終日に可決されました。
住宅から1.5キロ以内の地域や文化財周辺、鳥獣保護区、土砂災害特別警戒区域などを禁止区域に設定し、出力10キロワット以上の風力発電施設の新たな設置を規制するもので、禁止区域に建設する場合、町と協議することや住民説明会の実施、隣接する土地の所有者の同意を義務づけるなど、町と住民が関与できる枠組みを設けたほか、土地所有者に対し、自然環境などを損なうおそれのある事業者に使用させないよう努めることを求めています。
風力発電施設の計画に対する住民の不安を取り除き無秩序な建設を防ぐのが目的で、風力発電施設の新設を規制する条例は、中国地方の自治体で初めてです。
吉賀町・岩本町長:
「国が進める再生可能エネルギーに反対ではなくて、残念ながら、それを進める過程において町内でも住民の皆さんとトラブルが頻発していた。やはり、ここは条例を制定して一定のルール、規制を作って事業を進めていただきたい」
吉賀町周辺の中国山地では、大規模な風力発電施設の建設計画が相次ぎ、住民の間には、自然や生活環境に影響を与える無秩序な開発への懸念が広がっています。
吉賀町も高津川の源流保護の観点から、計画に反対する立場を明らかにしています。
吉賀町・岩本町長:
「吉賀町だけでなくて中流域の津和野町、下流域の益田市さん流域全体に影響が及ぶことになるので、上流域を預かる行政の責任として、一定の歯止めをかけていかなくていけない。下流域に対する我々の責務であります」
この条例は、7月1日から施行されます。