みなさんは、童話「桃太郎」に現代版のストーリーがあることをご存じでしょうか?
鹿児島県志布志市の小学校では、現代版の桃太郎を活用してこんな平和学習が行われました。
志布志市の尾野見小学校です。
25日行われた平和学習。
先生を務めるのは、埼玉県を拠点に活動する劇団「インディゴプランツ」の俳優たちです。
これまでも、飛行機ごと敵艦に体当たりする「特攻作戦」や、特攻専用の航空機「桜花」など、戦時中の鹿屋を舞台にした作品を上演してきたインディゴプランツ。
大隅地区での公演も多く、命と向き合うストーリーが多くの人の心を動かしています。
そんなインディゴプランツが、今回、平和学習の教材として選んだのが、童話「桃太郎」です。
演激集団INDIGO PLANTS・藤田信宏さん
「皆さんには2つの桃太郎を見てもらいましたが、この2つには何かしらの違いがあったと思います。気づいた人?」
児童
「昔の(桃太郎の)刀は鉄だったけど、今の桃太郎が持っていたのは木だった」
実は事前に童話「桃太郎」を視聴していた児童たち。
桃太郎と言えば、イヌ・サル・キジをお供に鬼ヶ島に向かい、鬼を成敗するのが一般的なストーリーです。
しかし、今どきの桃太郎は…
「わーーーーーーー!」
暴力を振るわずに、大きな声を上げて鬼を降参させます。
手に持っているのは、「刀」ではなく「木刀」なのにも注目です。
俳優の藤田さんは、児童たちにこう語りかけました。
演激集団INDIGO PLANTS・藤田信宏さん
「これから皆さんが生きていく世の中で大切なのは、手をあげることではなく、自分の意思をしっかりと相手に伝える、声を上げることなんだ」
2つの桃太郎について、児童たちはどう感じたのでしょうか?
児童
「戦わないで自分の思いを伝えて相手をいい気持ちにさせる方がいいと思う」
「手を出すと相手が傷つく。ちゃんと皆が分かりあえる世の中になってほしい」
戦う桃太郎と、戦わない桃太郎。
どっちが好きか児童たちに聞いてみると?
Q.戦う桃太郎が好きな人?
「・・・」
Q.戦わない桃太郎が好きな人?
「はーい」
戦わない桃太郎の方に軍配があがりました。
そして平和学習の締めくくりに藤田さんが読み上げたのは、特攻作戦で亡くなった若者の遺書でした。
遺書の朗読
「俺は幸せだった。今こそ大声で呼ばせていただきます。お母さん…お母さん…お母さん」
真剣な表情で聞き入っていた児童たち。
戦うとは何か。
平和とは何か。
児童一人一人の心に何かが芽生える平和学習になったようでした。