連日の暑さで、夏野菜「ナス」の生育に影響が出ています。愛知県豊橋市の小清水農園では、ナスが暑さで弱り、病気などで枯れていました。気候の変化が、農家に新たな対応を迫っています。
■ナスにとっても“暑すぎ”で…弱って枯れてしまう
愛知県豊橋市でナスを育てている「小清水農園」では、美しいツヤがありエグみがなく甘いのが特徴の「輝なす」と、食感がとろっとしている白ナス「とろーり旨なす」を育てています。

6月25日、ハウスを訪ねると、枯れて倒れてしまったナスの茎が多くありました。
小清水農園の小清水翔太さん:
ちょっと苗が倒れているところがあるんですけど。暑さで病気や虫だったりが結構…。暑さによって苗がやられて。緑の葉っぱが出てきているのが正常なんですけど、病気をもらうと枯れちゃう。
病気がうつらないよう、この列にあった苗のほとんどを切っていました。

25日昼過ぎ、ハウスの中の温度は35℃でした。栽培に適しているとされるのは28℃ほどで、ナスにとっても既に“暑すぎ”です。
ナスが弱り枯れてしまったほか、そもそも実がつかなくなったりしています。

小清水農園の小清水翔太さん:
つぼみから実にならないものが多いとなると収穫量も減るし、暑さの影響で品質もあまりよくない。スーパーとかに並ばないようなものが結構多くなってきて。
■やれることをやるしか…新たなハウスで「暑さ対策」
暑さは今後も続きます。そこで小清水農園では2022年、新たに建てたハウスに「暑さ対策」を取り入れました。
遮光カーテンを設置し、朝から昼ぐらいまでで十分な量の日光を当てた後は遮光し、気温の上昇を抑えます。

小清水農園の小清水翔太さん:
カーテンが二重になっていて、上の方だけ閉めているんですけど。下のカーテンは紫外線15%カット、上のカーテンは30%カット。これによって暑さ対策できる環境づくりをやっています。

ほかにも、水を広範囲にまいたうえ、通常よりも多くの水を与えることで、ナスの生育を支えています。
■農家「夏の暑さには勝てない」収穫を早く切り上げへ
全国の都市部を中心にスーパーなどで農家の直売所を運営する、株式会社農業総合研究所の販売データによると、ナスの5月の平均出荷価格は税抜きで211円と、2024年からおよそ6%、2023年からはおよそ16%も上昇しているといいます。

農業総合研究所の杉江康太さん:
ナスは比較的温度には強い作物なんですけど、適温を超えている状態ですので、成長速度や木の疲れが出てきてしまい、収量が減るかたちになってしまいます。
小清水農園は暑さのため、通常7月末まで続ける収穫を、早く切り上げることも考えているといいます。
小清水農園の小清水翔太さん:
夏の暑さには勝てんなぁって。できることはやっていきながら、天候次第では早めに切り上げることもあるかなと。小さいものまで全て取っちゃって、次の収穫に向けて準備をする。

夏野菜なのに夏に栽培できないという、今後の暑さ次第ではそんな夏になりそうです。
■専門家に聞いた「ナスは身体を冷やす?」
「ナスは体を冷やす」という話もありますが、栄養学が専門の名古屋文理大学の佐藤生一名誉教授に聞きました。
ナスの健康効果について、佐藤名誉教授は「ナスはほとんどが水分で、カリウムが多く、紫色の皮にアントシアニンという色素があり、抗酸化作用がある」と話します。

「体を冷やす効果」については、カリウムは塩分を外に出してくれるため、いい効果が期待できるということです。

また食べるにあたっては、「炒め物など油との相性がすごくいい。栄養素として夏バテを防ぐ効果がある。夏野菜カレーにナスを使うといいと思う」ということです。
(東海テレビ)